中村天風の生きる手本
宇野千代さんが中村天風氏を紹介している本。ということは、宇野千代も中村天風さんの教えを受けて感銘したということだ。
そもそも中村天風さんは病気で死を覚悟した。日本で死ぬために帰る途中でインドのヨガのおじさんに拾われた。そこから悟りを開いて、長生きをした。そのありがたい体験を皆に広めようと、天風教を始めた。なので、健康法的なことも書かれている。
毎日500回の足ふみというから、やはり歩くことが大切なのだ。そして呼吸法。これはヨガにはつきもの。私は呼吸法の専門家からそれは教わった。すべて知識ではダメで、実践することが大切。
今日は久々にスポーツクラブで筋トレをしたが、もうそろそろダンベルの重さの負荷を減らしていく歳になってきたかと思う。無理して老化した骨や筋肉を酷使すると故障を引き起こすことになるだろう。天風さんもそこまで鍛えなくても、一番大切なのは「心」であるとこの本の中でも再三にわたって語っている。
心を健全に保つのは、心の持ち方一つということだが、私の場合は二胡を弾くということもある。夜中に音を立てない限り誰にも迷惑をかけないし、しかるべく場所で上手に演奏すれば、人に感動とまでいかなくても、安らぎや癒しを提供することができる、と信じて練習に励む。信じる者は救われる。けだし名言。
さて、そうこうしているうちに十月になった。残る会社生活もあと一年と半年。それまでに二胡をもっと上手になって、以降は二胡クラブか二胡教室でもと考えないわけではない。が、それは楽しみであり、趣味だろう。では本業はというと、仕事をリタイアした人間が本業も何も無い。かしら。
中村天風さんは自分の体験を広めることで世の中の役に立った。今もこうして信奉者がいて、彼ゆえに幸せなり成功をつかんでいる人たちがいる。そう、世の中にどう貢献するか。すなわち、ましな社会を次の世代に残してゆくためにできることをやる、ということが老人の本業だろう。そういう中で、二胡が一服の清涼剤になれるように、というのはカッコよすぎるかしら。