「平和な国」日本の裏側 堤未果
「お金」と「人事」で世界が見える
堤未果さんの本は、これまでも何冊か読んでいて、主に米国の実態をレポートする内奥が多い。これもその並びで、格差の上にいる人間はどんな奴らで、日本も少なからず影響を受けている。といった内容か。
ひとことで言ってしまったが、具体的な中身では、リーマンショックを起こした輩はどんな奴で、どんなインチキをやっていたかが書いてある。
あの頃、デリバティヴなどという怪しげな商品を作っては売りさばいていた。ということは当時、会社勤務の中で情報は得ていて、そんなもの誰かがババをひくことになると気づいてはいた。
アメリカンドリームに誘われて、返済能力が無くても借金して庭付き、プール付きの家を買って、暫くしてグローバル化により国内の職を失い。借金は、まわりまわって税金で処理されるとか、ババを引いたものが負担する。AIGが倒産したのは、このループの中でババ引き役に回ったのか。彼らのルーツは中華系で、ユダヤ系ではなかったことが関係していたかどうかまでは分からない。が、臭い。
で、マネーを生み出すウォール街の中で、この本ではゴールドマン・サックスの名が挙げられる。実際、彼らは「政界と財界の回転ドア」の役割を日本でもはたしている。
郵政民営化から始まり、今や水道や共済、年金基金迄狙われている。
この本では、ダメだし的指摘だけでなく、日本を守ろうと言う声掛け迄が書かれているところがいい。今、日本にあるいいものを守ろうということで、健康保険、農協などが挙げられている。
健保は現在、マイナ保険証などというものに強制的に変えようとしているが、これ自体奴らの思惑に乗ったもので、ノー無しデジタル大臣がノーテンキに進めている。政界と財界の回転ドアは、パーティー券に限ったものではないだろう。今回の自民党の裏金問題の指摘は、当初は検察が鼻息荒く調査したものの、いつの間にか政治課題になってしまって、意味のない改善案が出ている始末。
それはともかく、ここで農協が高く評価されている。本来の農業協同組合ならばその通りだが、おかしな農業政策を推し進めるようになってからは、その裏をよく見なければならない。そしておかしな共同歩調からは離脱も必要だろう。
ともあれ、財界と癒着している政権は、日本の財産を売り渡すことにつながる。とにかくまず政権交代。米国の場合、政権交代しても税会と財界の回転ドアがある限り同じことだ、と言う指摘であり、それはミニ版の日本にも言える。がまず自民党は撤退に追い込まないと何も始まらない。
ということで、まずは来月の東京都知事選。小池VS蓮舫、と言う様相を呈している。が、そこに割って入った石丸伸二。元広島の安芸高田の市長を経験しているとかで、こんどは東京を変えるというスローガンで来ている。けっこう若手の注目を引いているようだが、小池氏の対抗票を割ってしまうことになったら、彼女の3選を許してしまう。でも自民党が応援するということなので、無理だろう。自民党系列と言うだけでダメなのだ、という流れを作りたい。