天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「中国人と日本人」邱永漢

 ご存知邱永漢氏の本。一頃話題になった本ではなかったか。1993年に出ている。天安門事件の数年後という時代背景、と言うほどではなく、ついこの間のことのように感じる。というのは、今読んでも十分に参考になる。何が参考になるのかというと、日本人にとっての中国人の理解に参考になる。
 この本は、超現実的な視点で中国人と日本人の違いを解いている。そこには中国が共産主義の国であるということの意味合いは無い。中国民族自体が家族をベースにして、お金に計算高い民族であり、それは歴史的にそうならざるを得なかった歴史がある。共産主義の影響としては、中華人民共和国の設立から訒小平による改革開放路線にいたるまでの40年の間、中国人らしい個人の金儲け活動が抑圧されていただけとある。40年間抑圧されていても、中国人の本質は変わることなく、改革開放で一気に本性を取り戻した動きに出ている。役人の腐敗とか汚職といったことも、今に始まったことではなく、中国5000年の官僚社会の中で培われた悪習であるとのこと。
 一方、日本人はどうかというと、物づくりの得意な職人である。中国人の商売人気質に対し、日本人は職人気質だと分析。例えば、中国人は作る物が大量に売れて金儲けができればいいと考え、日本人は材料を加工することで付加価値を加えることで稼ぎだそうとする。その付加価値をより大きくするために、技術力を高める努力をしてきた。
 今や実業家として著名な邱永漢氏は、この本が書かれた頃の日本側の中国への不理解を指摘し、中国で仕事をしたい場合のアドバイスをしようという意図でこの本を書かれたらしい。本だけでは説明不足なので、具体的にアドバイスをしますということで、事務所を開いたらしい。今は渋谷にその事務所がある。自分も、以前の会社で中国進出を進める部門にいたとき、ここの門をたたいて話を聞いてみると良かったかもしれない。やることは同じでも、イライラ度合いが違ったであろう。
 ともあれ、ビジネスとして中国進出の場合に踏まえておくべき中国人気質をよく説明した本だと思う。ビジネスではなく、個人的中国進出の場合にはどうなんだろうか。中国人と相談したら、そんな月給の安い仕事に行くなと言うだろう。私も中国人的なのか、日本人としてだって金銭感覚は失っていない。しかし、すべてがお金だけであるはずが無いと思っているし、先の見えた中で静かにしているよりも、先の見えない次の展開を楽しむのもいいのではないかな。