コモンの自治論 斎藤幸平+松本卓也=編
ここのところ自分は二胡三昧の生活をしているが、世の中は自民党の裏金問題が指摘されながら、世の中が納得する決着がつかないまま、いろいろなことが進んでいる。自民党ってアメリカの親衛隊なのかな。まあ、それは岸以来そうらしい。
社会の問題は、本来政治家が真摯に取り組まなくてはならないが、今の政権は米国と大企業のための政治をおこなってる。本来、どうなければ行かないのかと真面目に取り組む人たちがいることに、希望を持っていいのだろうかと考える。そういう人達が書いたものをまとめたのがこの本。自称マルクス主義者の斎藤幸平氏が中心にまとめたよう。
表紙にる人たちの中で、斎藤幸平氏と、白井聡氏、杉並区長の岸本聡子氏は著作などを読んだこともあり知っていたが、そのほかの人たちの文章を読んで、こういう切り口もあったのかと思うところが多かった。
各人の章立てを並べると、
第2章 松村圭一郎 資本主義で「自治」は可能か?
第3章 岸本聡子 <コモン>と<ケア>のミュニシパリズム
第4章 木村あや 武器としての市民科学を
第6章 藤原辰史 食と農から始まる「自治」
第7章 斎藤幸平 「自治」の力を耕す、<コモン>の現場
大学の自治の問題は、スガの時に大きな問題としてクローズアップされたな。自分が学生の時には「学の独立~」などと校歌を歌っていたものの、その意味を時間していなかったノーテンキさを反省。
第2章では、商店が自治の現場になりうるという新鮮な切り口。その地域に必要なものを届け、コミュニケーションの現場となる商店の存在などが述べられる。
杉並区長の岸本さんは、実践していることがそのまま。自治体の問題だから。
第4章の木村あや氏は、市民が必要とするものを行政が認めるような、科学的根拠を統計などで市民がまとめることで、自治を実現する手段と言う論理。
次の精神医療と自治の記述は、興味深かった。八王子は精神病院の多い街で、おまけにカルト集団が居座っている。精神病院てのは、患者とされた人を閉じ込めておとなしくなる薬を与えて生かしておくだけで商売になる、というものらしい。悪徳病院ばかりではないが、患者の人権とか、精神病院の在り方を見直す動きがあるとか。統合失調症の患者の付き合い方などが述べられているので、姉のことが気になっているところで、参考になった。
第6章は、日本の農政の不備や失策を考えざるを得ない。これも対米従属に起因する。敗戦直後の学校給食が脱脂粉乳、米国では飼料にするようなものを日本に押し付けられていたり、種の問題とか。問題なのは日本の自給率が低いこと。農家に十分な報酬が行くようになってない。
そして最後の章が、斎藤幸平氏によるまとめみたいな内容。
健全な自治とはどういうことか、いろいろな場面で自治を考えて実行してゆくことが日本をまともな国にしてゆく策だってことか。