どこかで聞いたことのある本のタイトルだと思った。
以前、似たようなタイトルの本を読んだのがこれ。
こちらの本も、ウーバーを体験してその実態を書き、アマゾンの倉庫も大変らしい。場所は英国だった。
今回の本は、昨年の新書ベストセラーの「『人新世』の資本論」を書いた斎藤幸平氏が毎日新聞のコラムに書いていたものをまとめて、言葉足らずは補って出したそう。アマゾンで予約販売していたのが届いた。なので初版発行日が11月2日とできたてほやほや。だが毎日新聞を読んでいる人はほぼ読んだ内容だろうと思う。
絵が面白いので、本の帯をとっているが、帯には「斎藤幸平、現場で学ぶ」と書いている。「人新世」の資本論でこれからは「コモン」が大事。というが実際のところそういうものがうまく運営できるのか。という問いかけに対して現場に学ぶという趣旨で、あちらこちら行ったり体験したりしている。
中身は面白かった。ウーバーの配達も経験し、シカを食べたり、コオロギを食べたり、水俣にも行って現在の状況を知らせてくれた。単なるレポーターではなく、そこで彼が自己の理論とそこで皆がやっていることの意味合いを考え、学んでいる。
それにしても、資本主義の経済が地球環境を破壊することで発展してきたこと、そして発展の恩恵を被っているのは一部の勝ち組、運が良かったモノ、であって、その分類は国内の問題だけでなく、環境破壊のために伝統的な生活を壊されたアジア、アフリカ、南米の人々がいる。いわゆる南北問題と他人事のように言う言い方もあるが、地域間格差があるままではきれいごとは通用しない。
知らないでいることの傲慢さを彼は、指摘すると同時に自省する。それでこのような本で、事実を広く知らしめることをしている。いいことも、よくないことも。
中のトピックの中にプラゴミの問題があり、自分たち家族でプラを手にしない生活にトライする。と不便で仕方がない。出来るだけそうしようということで、徹底的にプラスチックを排除することはもはやできない。できないが、明らかにそれが地球環境には負の役割、ゴミの増加に貢献してしまう。再利用する技術が進めばいいのか。すでにペットボトルを使って作られているという衣服を売っている。
見せかけの取り組みもある中で、本物のとりくみもある。本物たりえるのはどうも企業主体のものではなさそう。会社組織では利益をどうしても意識してしまう。
毎日新聞で読んでなった人はぜひ読んでみるといと思う。