天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

人生をしまう時間

 この前、天狗シネマという活動の映画を見たときに、このチラシを貰っていた。

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 あの時は「天のしずく」という体にいいスープを作る料理家のドキュメンタリー映画だった。そういう人たちが推奨する映画なので、さぞ面白かろうと気にしていた。

 タイトルからイメージしたのは、人生の終盤に「終活」なんて言葉もあるが、終わるとわかって何か充実した時の過ごし方などが出るのだろうかと思っていたら違った。

 実際に、高齢で、ほとんど癌で、自宅で亡くなってゆく人々に医療やケアを施す人々のドキュメンタリーだった。亡くなる患者も皆、実際の人々。見送る家族もそう。

 高齢者で、家族の方針とか本人の希望で、病院ではなく在宅で最期を迎えたいという人たちもいれば、経済的な理由でそうならざるを得ないケースも。

 涙無くして見られないのは、母親が先立ち、父親と娘の二人暮らしだったが、父親が癌で死んでゆく、その娘は子供のころの病気がもとで目が見えない。

 52歳の娘が癌で、病院から自宅に戻る。そばにいるのは母親。癌の末期なので、苦しかったり痛みが出たりする。訪問医は、痛み止めしか打つ手がない。

 どのケースも、患者と医師とのやり取りの場面があり、最後は患者が亡くなる。死に顔まで画面に出てくる。

 そこに至るまでの、医師と看護士、ケアマネージャーの人たちの心配りがとてもいい。

 チラシに写る人たちが、その人たちで、真ん中の白い上着の医師が、80歳の小堀鴎一郎医師。元東大病院の名外科医で、今は在宅の終末期医療に携わる。森鴎外の孫にあたるひとだ。

 もう一人が、このチームが所属する堀之内病院の院長でもある堀之内医師。やはり自ら訪問医療を行う。若いころは海外でおそらく「国境のない医師団」のようなところで活動していたらしい。インドでマザーテレサの”死にゆく人たちの病院”を見て、大きな影響を受けたということだった。

 この映画は、NHKBS1スペシャル「在宅死”死に際の医療”200日の記録」というドキュメンタリー番組をもとにしたもの。関連する本もある。映画館でも最近の本を売っていた。

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 映画に出ていた小堀鴎一郎医師の本と、監督の下村幸子氏の本。私は映画見たから買わない。

 これは渋谷のイメージフォーラムで見た。25日まではここでやっているそうだ。その先はどうなるか分からないとか。

 ここに行ったのは、今日慈恵医大病院まで診断書を受け取りに行ったついで、わざわざ都心まで行くのでついでに何かどこかへと思った。渋谷で映画を見るなら、まずは昼飯を、孤独のグルメの渋谷版の店に。それが「長崎飯店」だったが、映画館とは反対側の坂の上。なので病院から近い新橋の長崎飯店に行ってみた。そしてら混んでいて待つことになり、2時の映画に結局間に合わず、ゆっくりコーヒーを飲みながら本を読んで時間調整。写真は新橋の機関車。

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 おかげでいい本がじっくり読めた。

 ところで、今日受け取った診断書はがん保険の保険金請求に添付するもの。受取人/請求者は妻になるため、受取口座も妻。なのでこれらを妻に渡したら、「自分で書け」と不満たらたら。癌で在宅死する人たちをいくつも見てきてこういう態度をとられると、自分はこの人に看取られて死ぬことは多分ないだろうと思ってしまう。

 入院しか保険金が出ない古いタイプの保険なので、今の状態ならもう入院することはまずないので、こんな保険要らない。今回の請求は、検査後悪化して1日だけ入院した、その分の請求。これを済ませたら、こんな保険解約しようと思っているが、今日の映画と妻の態度を見て、最後は病院のお世話になるかもしれないと考える。いやいや、延命治療のための入院はしないだろう。

 そんなこと考える暇があったら、もっと大事なことをして、残る、生かされている日々を過ごした方がいい。