天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

満州暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦

 この本は、先の参院選で”れいわ新選組”で立候補した安富歩さんて、どんな人だろうと思って読んでみた。そうしたらとてもいい本だった。

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 満州国という一時的な傀儡政権による国がどうして出来上がったのか。そこから先の中国への侵略が上手くいかなかったわけなどを、社会科学的に説明している。

 語りかけるように分かりやすい表現。と思ったらこれは講演議事録をもとに書かれていた。

 満洲が成立しえた理由は何か。それが崩壊した理由は何か。分かりやすい。そしてポイントは、表の帯にもあるように「なぜだれも(暴走を)止められなかったのか?」と、「現代日本には『満洲』が残っている」という点だ。

 裏の帯と中に「個人より立場を守ってすべてを失った大日本帝国の運命を今こそ知ってほしいと思います」とあるのは、現代に生きる日本人への警告だ。

 ほんとうは戦争を辞めるのがいいと思うのだが、「立場上」そうは言えない。ということで誰もいいと思っていないことがどんどん進められてしまう。

 現代日本満洲が残っているというのは、本来死刑にでもなるはずの、満洲で無茶をやらせた岸の子孫が、あろうことか首相をやっていることもあるが、その周りを「立場」で動く官僚たちが取り巻いていることだ。官僚だけではない、これは日本人の性癖だとしたら浮かばれない。教育の問題は大きい。

 現代人に対する行動分析はなかなか鋭い。指摘は「仮面夫婦」にまで及んだので、思わずどきっとする。曰く;

 結婚生活がギクシャクしてきたら、本来、選択肢は二つしかないのです。

・相互に理解しあうまで、とことん話し合い、ぶつかり合って本当の夫婦になる。

・離婚する

しかし彼らは、その先に新しい展開のあるこの二つの道のどちらをも選びません。ただ現実を動かさない「仮面夫婦」を続けます。

そしてこんなときのこの二人、夫も妻もよくつかうマジックワードこそが、

「私にも立場がある」です。

 本の中身はすべては紹介しきれないが、ほんとうによく出来事というか事象を、社会科学的によく分析している。あとがきでは、この本の元本があることが書かれている。「『満州国』の成立」という本で、共同研究の成果らしい。

 こういうものの見方をする人が、山本太郎氏と一緒に政治を見直そうとしているのか。というか、山本氏はよくぞこういう人を仲間に誘ったなという感じだ。冷静にものごとを見る目は正しい方向性が示せると思う。こう少しこの人の本を読みたくなった。