天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

世界を変えた勇気 伊藤千尋

 20年前の本の後は、最新の新刊本。この4月15日に出た本が届いたのですぐ読んだ。

 前と同じように、著者の伊藤千尋さんがサイン入りで送ってくれた。

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 前回は「凛としたアジア」という本で、ここにも紹介した。次に何を読もうかと思っているところに、こんなの出すようっとネットで予告&予約募集があったので、早速申し込んでおいた。旅行から帰ったら発送するという話で、イタリアから帰国されたというわけ。

 期待を裏切らない内容。期待以上で、一気に読んでしまった。読みやすい文章ということもある。さすがジャーナリストで読ませる文章を書きなれている。この人、後輩だと思っていたら、自分より年長で、東大法学部卒で官僚にはならず、朝日新聞で活動をされていた。

 本の内容は、世界中で民主化や民主主義のために、あるいは外圧や独裁体制の排除などのために、人々がどうのように行動したのか、実例をたくさん紹介してくれる。

 日本の民衆の動きを活性化させる目的で書かれたことは明らか。実際、ここまで日本の民主主義が危うくなっている状態で、政府は国民を蔑ろにしていることに気づこうとしない人間への警鐘だ。

 南米、中米など発展途上国での見聞録が多い中、アメリカの中にもその行動を見習いたい人たちが紹介されている。

 911の後「戦争する権限を大統領に一任する法案」が議会に出たとき、一人反対した議員がいた。黒人女性議員バーバラ・リーさん。

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 この人は、ベトナム戦争の米国の苦い経験を省み、憲法の規定に沿うよう行動したということだ。

 この911がきっかけで、アメリカを守ると意気込んで軍隊に入り、イラク戦争に参加した兵士が、実際には罪のない市民を巻き添えにしただけの現実を知り、次の赴任命令には従わず処分をされた。そういう人もいる。

 映画俳優のダスティン・ホフマンは、来日の折に原爆を落とした国から来たものとして日本の国民に謝罪をした。こういう人、日本にいるだろうか。中国で人気のあった高倉健さんは、そういうことしたのかな。

 ともあれ、アメリカ方面だけでなく、欧州、アフリカ、アジアと各地を訪問してのレポートは、臨場感にあふれた素晴らしいものになっている。これはと思うところに付箋を貼ったら、付箋だらけになってしまった。チェコポーランドの話も素晴らしかった。皆、事実なのだ。

 最後に日本でも、ちゃんとやっている人もいるのよ、という実例が2,3書かれている中で、公害で不名誉を被った水俣が、今や日本一の優良環境地区に生まれ変わっていることが記されている。もちろん、その地区の人が過去に学んで行動した成果だ。

 多くの、特に若い人に読んでもらいたい。という訳でまずは、今日孫を連れてくるはずの息子に渡そうと思う。