天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

新説・明治維新

 かなりの本を断捨離して、今後新たな読むなら図書館で借りよう、と思っていながらついつい注文する本たちがある。これもその中の一つ。
「新説・明治維新」西鋭夫 

定価2980円+税、のところを500円の送料だけでよいというので申し込んでみた。100ページに満たない薄手の本。元々500円くらいのものか。
「リアルラストサムライの異名を持つスタンフォード大学フーバー研究所の教授」という触れ込みの著者は自分より10才年上。
 本の内容は、一言でいえば明治を美化する歴史認識の過ちを指摘している。といったことか。司馬史観と言われるものへのアンチテーゼかもしれない。
 確かに、坂本竜馬の活動を支援したのは誰か、先立つものが無ければ海援隊などできない。アジア各国が植民地にされ、お隣の中国の次は日本、というところでアヘンが持ち込まれたり侵略という形をとらなかったのはなぜか。などなどの疑問に答える形で当時の実状を明らかにしていく講義録だ。
 当時の日本が列強に武力で侵略されなかったのは、武力を使わなくても十分に日本を相手に設けることができた。金の換金率のトリックや武器を売って内戦を支援したり。その中で儲けてきた連中はある意味売国奴ともいえる。福沢諭吉などは、日本語もやめてしまえなどととんでもない奴だったのに紙幣になったりしてあがめられている。アメリカに搾取される構図は今も変わらない。
 もともと政府に都合の良い歴史教育で育った我々には新説に見えるが、実態はこういうことだったのよ、ということが書かれている。
 それはそれでいいのだが、この人物「安倍晋三を再度総理にする会」というのに名を連ねていたりしてとんでもない。明治以降の日本を批判的に見るのはいいが、ではどうしたらいいのかという点については江戸時代まで続いた日本の「美学」とくる。結局のところ国粋主義者か。
 確かに「最後は金目でしょ」とうそぶいて恥じないバカ政治家が横行する昨今、こういう実態を学ぶのはいいが、目指すところは美学ではないでしょう。この抽象的な言葉の中身を作ってゆくのは今の我々日本人だということなら分かるが、そうは書いてない。
 目指すものを追及するのに、過去を美化しすぎるのはよくない。北欧諸国など、外のお手本にも大いに学ぶべきだ。
 日本で、喫緊に求められるのはまっとうな民主主義社会を実現することだろう。