9.18
この前は、9.11だったがもうすぐ9.18となる。色々な日付が記念の日となるので、どれが何だったか数字だけでは分からなくなる。これは何の日かと言えば「柳条湖事件」の起きた日。1931年の9月18日から、今年で80周年となる。ここから満州事変がはじまり、1932年に満州国ができた。日本の中国侵略の拠点とも言える満州は、1945年まで続いた。
満州という言葉自体、日本の侵略の代名詞のようなもので、少し前までは中国では忌み嫌われていたらしい。「満州国物語」という本があるが、これはその満州国に生きた当時の中国の人たちの暮らしぶりはどのようなものだったか、ということがよく分かる。遅子建という人が書いたもので、2003年に日本語版が出ている。庶民の目線で書かれている。そこにいる日本人は、自分たちを支配するおどろおどろしい存在であったろうが、軍や警察のような人ばかりではなく、日本人の庶民もそこには暮らしていた。いわば特権階級のような存在に写ったことだろう。
しかしてその実態はというと、日本人側を見れば、兵隊相手の商売人だけでなく、満蒙開拓団などと呼ばれた人たちもいた。日本で食い詰めて満州に送り込まれたという集団だ。彼らの居場所は、中国の農民の農家を勝手に没収して、住み家として割り当てられたのだ。ひどい話。それもつかの間、敗戦で命からがら逃げ帰った。生きて逃げられた人はいい。逃げられなかった子供達は、中国残留孤児として長く中国で生活することになった。今でも帰らないで中国生活を選ぶ人もいる。
この関係の話しは色々あるが、戦争で一番被害を被るのはいつでも庶民とうことだ。テロだ、その報復だというのも同じこと。人間はまだ愚かなことをやめない。