天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「アフガニスタンで考える」中村哲著

 これは岩波ブックレットという、少年向けの小冊子。
 アフガニスタンで医療活動から井戸掘り、水路作りまで色々活動されておられる中村哲医師の本は色々読ませてもらっている。全著作まではいかないが、何冊も読んでくると概ね活動の様子が分かる。そして中村医師ご自身が書かれる文章は、何というか硬派の文章のようで、初めて接した時は結構読みにくく感じたものだった。今は慣れた。
 そこへ持ってくると、この本はとても平易な言葉遣いで、1984年のペシャワール赴任から、2001.9.11前後の大干ばつに対して水利事業を始めた頃までのことが書かれている。しかもカラー写真入りなので、臨場感もあり分かりやすい。全頁の半分近くが写真。手にしたときは、写真集かと思ったほど。
 しかし、文章が平易ということは中身が簡単ということではない。中村医師の主張が、分かりやすくしっかり述べられている。アフガニスタンと中村医師理解にはお勧めの一冊だ。中村さんの入門書といったところ。
 副題に「国際貢献憲法九条」とあるが、これはどういう関係なのかということについて、冒頭に氏ご自身が書かれいる。要するに日本は戦争を放棄した国であるから、援助される側も安心できるのだということだろう。それが9.11後に米国がアフガニスタンを攻撃する行動に及んだ際に、日本もこれに賛同を表明し給油活動までした。
 このことで、現地で信頼を得て活動を続けてこられた中村医師は窮地に立たされる。アフガニスタンの庶民にとっては全く不快な外国の侵略勢力に日本も加担するのか、といったところだ。
 日本は、戦争を全く放棄することで独立国としての地位が確保されるのではないか。戦後のアメリカの属国のような状態から抜け出しきれないでいる。戦争を放棄し武力を持たない、と宣言できるのは米国の庇護下にあるから言えてるのであるとしたら、独立国ではない。いかなる侵略行為にも加担しない毅然たる姿勢が必要だ。
 あれは侵略ではなく、世界平和の維持のための攻撃だというのがアメリカの宣伝だった。それは宣伝であって真実ではない。今日は深入りしないが、米国のアフガニスタンに対する空爆は全く米国の利害に基づいているようだ。
 8月に行った中村医師の講演会の主催が9条の会だったことが分かった思いがした。