格差と貧困のないデンマーク 千葉忠夫
年が明けてから、いいペースで本を読んでいる。というか、つい次々と注文してしまうのでまた在庫が増えてきている。うっかり忘れて、根雪にならにように読んでいる。自然、他の時間が圧迫されている。
世界一幸福な国の人づくり、という副題がついている。スウェーデンという国がとてもいいという本を読んだので、北欧の他の国はどうなの?と思っていたらこの本に出会った。
著者は、若い頃からデンマークで暮らして子供も育てた人らしい。
デンマークはスウェーデンのお隣で、スウェーデンよりもう一つ小ぶりの王国。政治体制は立憲民主政。ロイヤルファミリーがいるらしいが、主権在民が根付いたスウェーデンに劣らず立派な福祉国家。
本の主題は、社会制度ではなく民主主義を守ってゆく人をどうのように育てているかという点。教育制度の視点から、いかにこの国が平等な社会を実現しているかを紹介している。
まずこの国の高校は、本当に勉強をしたい人だけが行く。つまり、大学に行く必要のある職業に就きたい人が高校に進学する。大学に行かないで、美容師だとか、大工だとか技術を身につけた仕事をしたい人は、職業訓練学校が用意されている。そういう学校の定員は、そういった技術者を必要な数だけ育成する数が基準になっている。
医者とか、弁護士、大学教授を目指す人は高校に行く。小学校、中学校ではレベルチェックのテストはあるが、競争させるための試験はない。
職業は、無論需要と供給の関係で、仕事にあふれる人が出る。希望する職種が余っているときは、他の仕事をするために年齢に関係なく職業学校に行く。そういう制度があるので、失業率は少ない。
ここにもお手本とする制度があった。
この本の中で、日本に民主主義が根付かないのは何故かという点に触れている。
それは、戦後アメリカからこれが民主主義よと与えられたからで、自分で勝ち取ったものでないからだいう。確かに今まではそうだった。しかし、最近の動きはどうだ。昨年の戦争法に際して、安倍政権が憲法を無視していることが明らかになった。そのことに危惧を感じて動き出した老若男女が増えてきた。
これからだろう。戦争法廃止や、住民無視の原発反対の運動など、ほぼ独裁政権の安倍から民主主義政治を取りもどす運動が始まっている。この流れで正しい政治が日本でも行われれば、やっと欧州に肩を並べることができる福祉国家になるだろう。