天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

国と世紀を変えた愛 富永孝子

 これは、母校のOB会報に紹介されていた本。「張学良と宋美齢、66年目の告白」と副題のついていたのでつい求めて読んだ。著者の富永孝子さんは、張学良にインタビューした作家だ。張学良は100歳まで生きた。
 張作霖の息子であった彼は、軍閥の後継者というよりも愛国者で、それゆえに西安事件を起こしたということだ。

 日本よりも共産党をせん滅することに力を傾けていた蒋介石を、力ずくで国共合作に向かわせたこの事件。国を思うがゆえにやったことだが、その後始末とその後の彼の人生は何人もの女性に助けられることとなった。
 この本は、著者のインタビューや調査に基づいて書かれているので、史実であると言えよう。張学良は大変な美男子でプレイボーイという評判もあるくらい、何人かの女性と親交があり、ともに暮らしたりしている。
 蒋介石が台湾に行くときに、張学良も連れて行かれて半世紀の間、監視付きで監禁された状態だった。しかしそこには彼を支える女性たちがいた。皆、才能のあるしっかりした女性だったが、その極め付けが蒋介石の妻である宋美齢といえよう。
 この本によれば、宋美齢蒋介石と結婚する以前に、張学良に会っていて、お互いに引かれる気持ちを持っていたが、運命が一緒になることを許さなかった。しかし宋美齢蒋介石の妻の立場で張学良を助けている。西安事件のあと、学良が命を奪われなかったのも彼女のおかげだ。
 張学良は、90歳を過ぎてから日本のテレビのスクリーンにも出ている。色々な評価のある人物だったが、この本は女性との関わりを描きながら彼の人となりを浮き彫りにしていて面白い本だ。
 たしかに、西安事件が無ければ、歴史の流れは変っていたかもしれない。