天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

 中国の大問題

 南昌でラーメン起業した友人が、これ読めよと貸してくれた本。「中国の大問題」と題していて、帯には「中国の弱みに石を打て」などと書いてあるので、また中国を足ざまに言って受けを狙おうと言う本か、と思ったら大違い。
 タイトルが悪いと思う。誤解を招く。あるいは、中国嫌いが好んで手にするように見せかけて、実は冷静に日中関係を解こうと言うのか。だとしたらすごい。
 ともあれ、著者は丹羽宇一郎氏。前の中国大使だった人。経歴は商社マン。伊藤忠商事の社長だったひと。タイトルなどは、編集者が考えたのかもしれないが、次の七つの章建てになっている。

第1章 14億人という大問題
第2章 経済という大問題
第3章 地方という大問題
第4章 少数民族と言う大問題
第5章 日中関係という大問題
第6章 安全保障という大問題
終章 日本と言う大問題
 いちいち大問題とつけなくてもいいと思うのだが、大きな国である中国にとってはどれも大きな問題だということか。それぞれの切り口で中国の今を冷静に解説してくれる。氏は、大使時代に大使館に籠らず、中国全土を歩いてじかに見て回ったそうだ。そのうえで感じたことが書かれていて、とても説得力があり共感が持てる。
 一番問題なのは終章の日本という大問題のように思える。日本の問題をも冷静に見ている。
 巻末には、資料として日中が国交回復してゆく歩みがズラリと本文入りで並んでいる。
1959年6月4日 周恩来石橋湛山書簡
1972年9月29日 日本国政府中華人民共和国政府の共同声明(田中角栄周恩来
1978年8月12日 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約(園田直・黄華)
1993年8月4日 慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話(河野洋平
1995年8月15日 戦後50周年の終戦記念日にあたって(いわゆる村山談話、村山富一)
1998年11月26日 平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言(小渕恵三江沢民
2001年10月8日 中国人民抗日戦争記念館訪問の小泉純一郎総理の発言(小泉純一郎
2005年8月15日 内閣総理大臣談話(いわゆる小泉談話、小泉純一郎
2008年5月7日 「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明福田康夫胡錦濤
 こうしてみると、石橋湛山周恩来から日中の政府間レベルの対話が始まり、日中国交回復後も関係改善のステップが続いていたことがわかる。この歩みも平坦なものではなかったが、ここで来てこれまでの先人の努力をぶち壊すようなことをしたタコがいた。言うまでもなく石原と野田。尖閣列島問題をめぐって、都が買うであるとか国有化だとか。
 この本を書いているような見識のある人が政治をやらなくては。衆院解散も是非論をめぐって色々だが、解散を決めてしまったのだから仕方が無い。恐らく安倍総理の思惑とは違った結果になるのではないかと思う。
 Facebookでは、秘密保護法に賛成した議員に投票するのは絶対さけたい、と賛成押した議員の名前がリストアップされている。
 選挙制度は大いに問題はあるが、私たちは正々とできることをやってゆくだけ。