天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

儒教三千年 陳舜臣

 気功というものに接して、そのルーツが中国の道教というものに関連することが分かってきた。で、その道教というものを少し本でチェックしてはみると、老荘思想が教えの根底にあるらしい。
 中国で三大宗教と呼ばれるのは、儒教道教、仏教である。仏教はこの中では比較的新しい。日本には中国経由で伝わって根付いたと言えよう。
 もうひとつ、儒教も中国発で朝鮮半島と日本に伝わった。自分も子どもの頃「君子危うきに近寄らず」という言葉を親から教わり、だから危ない所で遊んではいけませんと言われていた。それほど日本人の生活にも深く入り込んでいる。

 「儒教三千年」という陳さんのこの本は、儒教の歴史を教えてくれるだけでなく、論語の中の解釈の分かれる言葉の解説など、色々な角度で儒教が語られている。
 儒教は、近代化を阻む存在のように言われていた時期があったが、最近はアジアで経済発展をしている地域はみな儒教文化の根付いた国であると言われている。香港、シンガポール、韓国、台湾が四頭の龍として書かれている。日本も儒教国で別格で筆頭を行っている。
 この本が書かれたのが1995年当時であるので、中国の経済はまだまだの時期だった。現在では中国のGNPが世界2位にまでなっているが、ここも儒教の本拠地である。
 しかし、現在の中国を見る限りにおいて、その経済発展と儒教とは結び付かないように思える。世界の工場としてその経済数値は増えたものの、儒教的な民度によって会社経営の基盤が強固なものであるとか、そういうことは無さそうだ。日本の場合の終身雇用制などは、それ的なところがあるように思えるが、中国の場合はアメリカ的に割り切っている。
 陳さんは、儒教は中国そのものであり、時に為政者に利用されることがあっても中国の文化であることは変わりがないと、何か愛情を持って見ているように思える。キリスト教などの一神教の宗教とはかなり異なる。私は、儒教はいわゆる宗教ではないとする見方に賛成する。
 自分は、道教も中国文化そのものであろうと見ているので、中国の三大宗教と言われるものでは唯一仏教だけが宗教のように見える。つまるところ中国というのは、神々の文化ではなく人間中心の文化ということではないだろうか。いいとか、悪いとかの問題ではなく、中国の人々にとても人間的なものを感じるのはそういうことではないだろうかと思うが、どうだろうか。