天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

Lightning by Danielle Steel

 本のタイトルを訳すと「雷」。人生には、雷のように突然襲ってくる不幸な出来ごとがある、というのが主題らしい。
 最近読書量が減って、久々に読み上げたダニエルの小説。読書量が減ったのは、団地の理事会のことに時間を取られたり、部屋にいるとき少し時間があると二胡の練習をするせいかもしれない。
 ともあれ本の紹介を書こう。主人公のアレックスは、ニューヨークの弁護士事務所のパートナー。夫はウォールストリートで売れっ子のファンドマネージャー。人もうらやむニューヨークのエリート夫婦には遅めに作った四歳の娘がいる。愛情のあふれた家族だった。その申し分の無い夫婦を突然襲った雷は、アレックスの乳がんだった。

 健康診断で精密検査が必要と言われたときには、夫のサムは「大したことは無いだろう」「どうせ医者の誤診に違いない」と真剣に取り合わない。いよいよ乳がんが本当だと分かった時には、サムは呆れたことに、その不幸で家庭をぶち壊しにしないでほしい、という態度でいた。実は彼の母親が同じ病気になって、そのせいで家庭崩壊をしたというトラウマがあったのだ。それで自分の身の回りに癌患者がいることを受け入れたくなかった。
 それにしても、何と身勝手な男ではないか。妻が検査の結果、乳房を取る手術を受けるまでの心細い思いをしている間も支えになってやることもせず、手術にも立ち会わず、術後の再発防止の抗癌治療の間も、脱毛した見にくい姿を娘に見せるなという。乳房と髪という女性にとって、女性であることの証のような大切なものを失うというのに、支えになるどころか避けて通るとは。おまけに、怪しげな取引先の男の姪とかいう美人の英国女性にうつつをぬかす。
 一方、アレックスの方は、弁護士事務所の若い弁護士に抗がん剤治療の半年の間、親身なサポートをしてもらい、仲良くなった。彼は長年彼女の仕事をサポートしており、姉も同じ病気でいるのを、姉を支えるような気持でいながらアレックスに対して愛情を抱くところとなった。
 行く末は明らか、夫のサムの浮気も皆の知るところとなり、若い弁護士ブロックはアレックスに早く離婚して自分と一緒になろうとせまる。
 ところが、サムがイギリス美人と遊び呆けている間に、彼女を連れてきた連中がサムの顧客のファンドを不正に持ち出していたことが発覚し、万事休す。しかし裁判では、サムは執行猶予付きの量刑となり、収監を免れる。サムを弁護したのはアレックスの事務所でその道に明るい弁護士だった。アレックスは自分では弁護しないものの、サムを支える。若い弁護士ブロックは、そんな様子にいら立つ。
 最後は、よりが戻るという筋書きだ。なんか釈然としない。主人公アレックスはひどい夫に理解があり過ぎ。女性は、ひどい仕打ちを受けても、それが男の一時の迷いであることが分かれば、愛した相手を忘れられないものなのだろうか。確かに、サムは根が悪いヤツではなく、騙されるほどに間抜けたやつというだけではあるが、ダニエルの愛の遍歴がこのような小説を書かせたのだろうか。1995年の作品。次は「Friends Forever」を読む。