天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

反貧困ー半生の記 宇都宮健児

 今年読んだ一冊目の本。

 弁護士宇都宮健児氏がご自身の半生を振り返って書いた本だ。氏は、東京大学在学中に司法試験に合格し、すぐに給与の支給される司法研修生になったため、大学を中退している。それほどお金には困っていたということか。そして、12年間もイソ弁という、他の弁護士事務所に所属する形の身分であった。独立するまでの仕事がなかった。そして回ってくる仕事は、サラ金の取り立てに困った人の相談ばかり。
 そういう仕事が今日の宇都宮さんを育てたとも言えるが、もともと困っている人の役に立つのが弁護士の仕事だという思いでこの仕事に就いた。
 常に困った人の立場で仕事をし、地下鉄サリン事件の被害者の会の弁護団にもなっている。
 元々、サラ金業者は法律で規制された以上の高金利で金を貸す。今では、宇都宮さんの他にも利息の過払い金を変換する手続きをやりますという弁護士事務所が幾つもでてきた。宇都宮さんはこういう仕事の先駆け的存在であった。
 そして、そういうお金を借りざるを得ない人たちは、一時的な用立てというよりも元々貧困で、借金返済のためにまた借りるという連鎖を繰り返す人が大半だ。貧困になる原因は、リストラが一番多いし、正規雇用になれない若者たちも貧困生活を余儀なくされている。
 生活に困った人たちのために生活保護の制度があるが、実際に利用されている率が低い。受給の資格のある人が窓口で断られることが多いとか。その結果、餓死してしまったり、犯罪に走ったり。
 また犯罪被害者に関しての話では、事前に警察に相談に行っているにもかかわらず、警察がとりあってくれずに犯罪の犠牲になるケースが結構多くある。そういう無責任な役所や警察に対して、宇都宮さんは憤りを語る。
 宇都宮さんの、活動に呼応して反貧困ネットワークというのができている。
http://antipoverty-network.org
 本来、社会保障制度を正しく運用するのはお国とお役所の仕事のはずなのに、日本はそれができないでこうした市民活動によるところが多い。でも、できることをやっていこうという人たちが増えてきていることはとてもいい。出来るだけの参加をしてゆきたい。