天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国の懐古趣味

 最近、中国では懐古趣味がはやっているときく。たとえば結婚式の記念撮影に、昔の解放軍の服装をしたりする。
 即ち懐古と言っても、数十年前を懐古することであって、三国志時代とか、つい100年ほど前の清朝の頃までの伝統的な中国文化の服装のことではない。中国の古い歴史を思えばついこの間と言ってもいいだろう。要するに毛沢東に代表される、当時の中国共産党が設立されて、中華人民共和国の成立からしばらくの頃のファッション。その背景に、皆が貧しかったが、文字通り皆が平等であることには違いなかった、今のような格差がほとんど無かった時代、その頃を懐かしむ声もあるのかもしれない。
 これはしかし、危ない傾向のように感じる。日本でミリタリールックが流行ったとき、昔の軍隊を連想させ、ああいうのがカッコイイという雰囲気で軍隊の復活につながることが懸念された。それはファッションの世界で終わり、軍隊が復活はしていない。中国の解放軍とか人民軍の制服への回帰趣味も、服装どまりにしておいてほしい。
 マオという本を読んでいる。浅田真央ちゃんの本ではない。毛沢東の毛(マオ)だ。毛沢東の実態を取材に基づいて記録した本のこと。ワイルドスワンの著者が、アメリカ人の夫と作成した本だ。この本には、1930年代に存在した共産軍の実態が赤裸々に述べられている。食えないために軍に参加した貧困庶民。権力闘争のために兵隊や庶民の命をなんとも思わなかったマオ。そういう時代を再来させてはいけない。
 いまの中国を見ていると、そういうことの復活がありえないようにも思う。情報化社会となり、庶民と言えども理不尽なことがまかり通る世の中ではおかしいことを知っている。しかし、用心はしなくてはならない。教育、宣伝という戦略で人々を洗脳するのが今の中国の為政者の方策だ。それと軍事力に警察組織。力の部分だ。自然の一部分である人間のすることは、何があるかわかったものではない。想定外の自然災害ならぬ、想定外の人災が起こる可能性は常にある。福島の原発事故などは「想定外の人災」だ。
 なので、中国の懐古趣味も、それによって不幸な時代を忘れさせるような手に乗ってはいけない。80後(八零后)、90後(九零后)と言われる世代の人々は文化大革命を知らない。直接は知らなくとも、その親の世代から話を聞くことはあるだろう。しかし、共産党批判の話などは庶民はしてはいけないことになっている。なので、当時の実態と実感は案外伝わっていないのかもしれない。
 結論としては、懐古趣味はファッションだけでいいでしょう。何につけても中国から目が離せない。