彭徳懐
彭徳懐と書いて、中国読みではポントーホワイと言う。彼は大変有能な人物であったが、毛沢東のやり方に従わず、長年にわたって虐待をうけたのちに死亡した。彼は赤貧の農家の出身であった。そのことを忘れることなく、飢餓に苦しむ農民のために働いた。
彼は共産党員幹部として有能な働きをしたが、彼の心情は「自由、平等、博愛」であり、「王子犯法、与庶民同罪」(法の下には王子も庶民も平等だ)、「己所不欲、勿施於人」(己の欲せざる所、人に施す勿れ)といった中国の倫理観、道徳観を主張した。これがまた毛沢東の批判の材料になったらしい。
彼は毛沢東とは同郷であったこともあり、毛にとって疎ましい存在であると思いながらも、その主張がもっともであることも分かりながら、毛は自己の権力欲に従い、ついには彼を亡きものにしてしまったのだろう。
人として生まれた以上、同じ人々が少しでも平等に、幸せを感じながら生きてゆけるようにしようという信念に従った人だろう。自己を省みて、そのような行動が出来ているだろうか。日常性に追い回されているのが実情だ。
日常性とは惰性であり、本能的に保身的行動をしているのではないだろうか。その点、この彭徳懐とか中村医師のような人は自らの思うところに従って生きた、あるいは生きている希有な人々であろう。
反省しきり。残る時間をいかに活かさんや。