天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

マオ(上)誰も知らなかった毛沢東

 この本のことは、前に書いたかもしれない。やっと上巻を読み終えた。上巻だけで560ページもある。下巻もある。ワイルドスワンの著者であるユン・チアンと夫ジョン・ハリディとの共著ということになっている。上巻では、毛沢東の生い立ちから日中戦争勝利後の中華人民共和国の成立までのことが書かれている。
 著者の言い方で言えば、毛沢東が中国の支配権を得るまでのことが上巻。そしてこれ以降27年間にわたって毛沢東支配が続く。そのことが下巻に書かれている。長いので、一冊読んだところで感想を一言記しておこう。
 この本は長いが、内容は全て毛沢東がどのような人間だったかという点に絞って、取材に基づいた記述がされている。政治的な動向や、日中戦争の詳細についてよりも、現在語り継がれている毛沢東伝説がいかにでっち上げで、嘘っぱちのものかということを証明しようとしている。
 主張のポイントをまとめると次のようになるだろうか。
1.中国共産党立ち上げの頃から共産党の勝利まで、マオは人民のためというよりも、一貫して権力拡大を主眼とした行動をしていた。そしてそれが最終的に成就した。
2.この間、蒋介石の率いる国民党との勢力争いが続いていたが、中国での覇権を獲得するためには、一部を外国に渡しても構わない姿勢だった。ソ連スターリンを後ろ盾にしつつ、日本とも手を組んで国民党勢力を弱めることを図った。共産軍の内情においてさえ、自分の権力強化のためには共産軍を無駄に動かして犠牲を強いることも辞さなかった。
3.性格は残虐で、自分にとって利用価値の無い弱い人間の命には一瞥もくれない。拷問や残酷な刑をなんとも感じない。
4.権力維持の手段は、人間性とか主張の正しさとか、政策といったものではなく、「恐怖」だった。文化大革命のように、権威のある人たちや権力者が訳の分からない、煽動されただけの庶民にリンチにあうようなことは、以前から行われていた。整風運動というのが延安時代にあったが、それがそもそもの犠牲者を出すことにより、人々を恐怖に陥れるやりかたのはじまりだった。これについては、マオ一人ではなく、そのようなことを平気で実行する手下がいた。
 以上は、あくまでも本の内容を要約しただけ。とても中国では発売できるものではない。しかし、お互いに監視し、密告するという風習はマオの事項した恐怖政治の習慣が根付いたものだという気がする。
 あまりの内容に、すぐに下巻を読みたいという気が失せている。