天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「この世の喜びよ」井戸川射子 #芥川賞

 最近読む本は、「〇〇論」てのが多いので、たまには文学作品を読むか。と思って手にしたのが今年の芥川賞受賞作。芥川賞直木賞と同時に発表があったが、昔から芥川賞の方が純文学で、直木賞は大衆小説っぽいと受け止めていた。

 純文学といわれると、文章表現の面白さの評価が主となるのか。

 この本には、「この世の喜びよ」と「マイホーム」、

キャンプ」の三篇が収録されている。三つセットで芥川賞なのか、この題の作品が受賞したのか、と思うがおそらく後者。確かにお話し的には三つは違う場面だが、なんとなくあるある日常的なお話ばかりに思える。

 本の帯の後ろにはこんなコメント。(*は私が付記)

「この世の喜びよ」かつての子育ての日々を思い出す女性

*女性はショッピングモールの喪服売り場の店員の仕事をしていて、よく見かける少女とのやりとりや、そこから我が子育て時代を振り返ったり。

「マイホーム」ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦

*結局この家は買わないことにするが、販売員とのやりとりや家に残してきた家族を思ったりする様子。

「キャンプ」父子連れのキャンプに叔父と参加した少年

*子供目線の体験談。みな男の子。女性の作家が男の子の感じ方を書いている。

 どれも”あるある”な感じで、そういうところが芥川賞なのか、最初の文章は”あなた”の二人称が自分のことみたいで、場面と時間が急に変わる。最初は「ちょっと何言ってるかわかんない」お笑いのサンドイッチマン状態だったが、読んでると慣れる。こういう文体が芥川賞なのか。よくわからない。

 総じて平和な極めて個人的な生活体験。

 他にも読んでみようという気にはならなかった。次はやはり○○論的な本が待っている。