天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

人間万事塞翁が丙午−青島幸男

 部屋の整理、断捨離作業の一環で破棄する本を引っ張り出していてこの本が出てきた。近くの大学の図書館が放出したものをカミさんがもらってきたらしい。
 小説家で、政治家で、コメディアンで、東京都知事だった青島幸男氏。氏の父親や家族のことを題材にしたものらしい。面白いと思ったら直木賞を受賞した作品だった。戦争に何度も招集された父を中心に当時の江戸っ子たちの生きざまが、歯切れのよい江戸弁口調で書かれている。
 戦争という暗い時代の生活の様子が、暗さを感じさせないで、人生とは所詮こんなものさという具合に描かれている。

 人生なんて冗談で生きているようなもの、とうそぶいていたことが自分にもあり、今でもそういうことにしておいた方が気楽でもある。
 しかし大事なことを蔑ろにすることはよろしくない。
 青島センセーはコメディアンでもあったわけだが、ただ売り出したい一心でバカなことをするのとは違って何か世の中に対するシニカルなスタンスがあった。そこが受ける要素でもあったと思う。
 「大事なことを面白く」という井上ひさし氏も共通するところがあるようにも思う。
 深刻なことを、深刻に言って見ても聞く耳を持たない人が多く、面白くもない文章は読まれない、とすればこのスタンスも大事ではないか。
 青島幸男氏が生きていたら、ここ数年の石原以後の都知事をめぐる不祥事などについてどうコメントするだろうか、聞いてみたい。知性に欠ける政権運営をどう見るかも聞いてみたい。大した選挙運動もしないで、国会議員に当選していたが長々と続けることなくやめてしまった記憶がある。政治家に愛想をつかしたのではないかと思う。