聊斎志異考 陳舜臣
整理中の書棚から出てきた本。整理中断して読んでいた。
聊斎志異という本は、中国の妖怪についての話がたくさん掲載されている。日本には江戸時代に伝わったらしい。そのたくさんの話の中から陳舜臣氏が選び出して解説をつけたものがこの本。元は全12巻あるようだが、ここでは12の話が紹介されている。各巻から一話ずつ選んである。
霊界に生きるものと、現実の世界に生きるものとの交流、ことさら男女の交わりが書かれている。いくつもこういう話を読んでいると、中国の人にとっては死の世界が日常的なことのように見えてくる。
お化けが必ずしも恐ろしい存在ではなく、美しいお化けに惚れてしまうことすらあるとすれば、現世とあの世との違いは何なのか、さほど大した差がないような錯覚に陥る。たまたまこちらは生きているが、あなたはそちらの世界にいる、といった具合に交流ができるなら死ぬことはさほど重大な問題にならない。
莫言の「転生夢現」という本もあったが、あれは死んで次々と別の姿で生まれ変ってくる物語だった。これらは、中国人の生死観から出てくる物語なのか。
現実世界で思いを遂げられないので、霊界を引っ張り出して自由に思うままの世界を描いている、てなことがあとがきから陳舜臣氏の見方として読める。
物語の解説によって、物語当時の中国社会が見えてくる。