天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「ウイシュマさんを知っていますか?」眞野明美

 スリランカ人のウイシュマさんが名古屋の入管で殺された(とあえて言う)ことは、ニュースで知っていた。が、詳しくは知らなかった。著者の眞野さんは、ウイシュマさんを支援していた人で、彼女が亡くなってとても悲しい、悔しい思いをしているので、広く皆さんに知ってもらおうとこの本を書いたのだ。と思う。

 本のページの大半は、サブタイトルにあるように、名古屋入管収容所から届いた手紙だ。手紙は、英語とローマ字やひらがなの日本語、その混合だったりする。これを日本語訳して、眞野さんの対応と時系列に並んでいる。

 眞野さんてどんな人かと調べてみたら、出てきた。

www.asahi.com

 入国管理局仮放免となった人の身元引受をして、自宅をシェアハウスとして一緒に住まわせたりしている。このネットの記事は、昨年「SDG'S岩佐賞」とかいうのの平和の部で受賞したということだそう。ウイシュマさんの仮放免の申請をしていて、仮放免になったら自宅でいろいろなことを一緒にやろうと、面会で話していたらしい。

 上の絵は、ウイシュマさんが描いたもので手紙の中に入れてきたもの。祖国で見られる鳥の絵と、着物をきせてもらった自分の姿。ウイシュマさんは、英語も堪能で才気あふれた女性で、二人の妹を養うために日本に来た。当初同居していた同国人の保護が得られず、入管に囚われの身となった。

 収監されている間に体調が悪くなっても担当医の診断は「ストレスだ」ということで何も治療がされなかった。ストレスが最大の病因だが、そのストレスを取り除くこともされず、飲み物ものどが通らなくなって死亡するまで放置された。

 そもそも滞在期間が切れたくらいで、囚人扱いして監禁するってどういうことだろう。入管法の改正が話題になっているが、そこは詳しくはまた調べることとしよう。

 だいたい人を拘束する施設が拘置所や刑務所以外にある必要があるのだろうか。余計な管理機構を作って役人が天下りする、その一つのように思える。本来は誰も国をまたがって移動でき、好きなところに住めるというのがいいと思っている。みな生まれ育った故郷があるので、そこにいるのが当たり前だと思っていると思うが、仕事を求めて田舎から都市に出るのと同じように、望む仕事ができる国に行くことがもっと自由にできる方がいい。国ごとの競争は要らない。GNPが大きくてもそうでなくてもどうだっていい。みんな本当にそう思うようになれば、戦争は無いはず。

 最近は日本が嫌になって出てゆく人が結構いる。出て行ける人は出てゆく。ロシアは今、かなりの人が海外流出しているはず。

 おっと話はウイシュマさんのこと。又は入管のこと。

 ふと思うのだが、入管て人種差別はないだろうか。収容されている人たちの国別人数はどうなっているのか。

 統計があった。令和元年6月の数字で、多い順に イラン(86)、スリランカ(77)、フィリピン(62)、ブラジル(53)、ナイジェリア(47)、ペルー(39)、中国(33)以下パキスタンミャンマー、トルコなどが並ぶ。欧米の国々はいない。いる要素がない、のかもしれない。それだけだろうか。中国が意外と多いように見える。外国から来日して旅行でなく滞在する理由は、留学、就職、結婚などだろう。それに技能研修性という名の労働力補助要員。そういう意味ではアジアの国々からはこの研修生が多くいて、研修期間を過ぎても帰国しないケースが不法滞在になるのだろうが、帰れない理由がある。ミャンマーなどは明らかに難民と認定すべき人たちがいる。先日も池袋でミャンマーの人たちがスタンディングデモをやっていた。

 研修期間を終わった研修生は、本人が帰国して仕事をしたいという場合以外は、正社員として日本で就職できるようにすべきだろう。そのために彼らは日本語を一生懸命学習している。

 話を本に戻すと、ウイシュマさんの遺骨を供養しているのは日本の明通寺というお寺であり、そこの坊守北條良至子さんも巻末に書かれている。その文章の中にスリランカが敗戦後の日本の分割統治を回避するよう1951年のサンフランシスコ講和会議で、ブッダの教えを引用して演説をしたことが書かれている。その史実は、どこかで読んだ。

 このスリランカの代表の演説がなければ、日本は朝鮮やドイツのように南北か東西に分割されて、下手をしたら朝鮮半島と同じような状況になっていたかもしれないのだ。そういう国の人を蔑ろにしてはけない。ウクライナの人を難民として支援するのと同じくらいアジア・アフリカの人たちにも支援の手を差し伸べなくてはならない。

 眞野さんのように支援活動をしている人たちはいる。いるけれども、支援などが必要のない制度の見直し、法制の改定が必要だろう。入管法の問題、ちょっと調べてみるか。