天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

[本] 検査結果と「JR上野駅公園口」

 毎月になっているPSA検査は、今回は1.9だった。飲み薬をやめて3か月経過するが、前回の1.64から思ったより上がらなかった。ということで、飲み薬の復活はなしで済んだ。代わりにCT検査を受けてきた。結果は次回。PSA値が異常値でないのに、CTで癌が見つかるわけがないとは思うが先生曰く「定期的に検査」だそう。

 それはいいとして、通院の間に柳美里さんの「JR上野駅公園口」という本を読み終えた。

 どうしてこの本を買ったのか、おそらく東京新聞の本の広告を見てだったかと思う。あるいはどなたかのブログを見て、これは読んでおかなくちゃと思ったに違いない。

 話は、タイトルから推測がつく、ホームレスの話。昭和天皇と同じ年の男が、ホームレスになってゆく。息子は皇太子(今の上皇)と同じだったが、先に死んでしまう。

 上野駅と言えば、集団就職の到着駅だ。集団でなくとも、出稼ぎで東北から東京に出てくると上野につく。上野駅を題材にした演歌もあった。今はもう亡くなった友人が学生時代のコンパで「ああ上野駅」をよく歌っていたこ。彼は東北出身ではないが、学校に入るのに東京に出てきて、田舎者の心境に共感していたのかもしれない。かくいう自分も大学に入りに東京に出てきた、しかもこれと言った故郷が無い流れ者。そのまま東京で暮らしてきたが、いつまでここにるのか。それはともかく本の話。

 出稼ぎは、日本だけじゃなく、耕作だけでは生活が成り立ちにくい地域では都市部に賃仕事をしに出掛ける。中国もそうだし、農村部では天候の影響などもあり安定した収入が得られない時、出稼ぎに出る。そういう意味では生まれついたところがどこかで、人生の苦労が決まってくるのは、平等じゃない。しかし出稼ぎをして、努力をして学業や仕事を身に着けて生活してゆく人達はいる。一方で、ちょっとしたいきさつで家族が離れ離れになるとか、死別してしまうなどがあり、家をなくしてしまうとか、家にいられなくなることが往々にしてある。タイミングが悪いと、どう頑張っても借家にも住めない状況になってしまい、ホームレスになる。

 セーフティーネットの不十分な状況や、地域間の格差などが問題とうことがテーマかと思いきや、天皇制に関して日本人の意識の問題にまで及ぶ。

 上野公園にはホームレスの人たちのビニールハウスが立ち並んでいるが、時々「山狩り」といって、その場を立ち退かなくてはならない時がある。それは何かというと、天皇家の誰かが美術館を訪問するときに、ホームレスが目につかないようにということ。

 つまり天ちゃんたちはホームレスの存在を知らない。前の天皇は、よく被災地を訪問して被害者を慰めに行ったが、彼が心にかける人たちは、普通の暮らしを災害によって失った人たちであり、災害によらず家をなくした人たち(ホームレス)は心にかける対象にもなっていないということだ。これはなかなか鋭すぎるようだが、事実だ。

 日本人は、日本各地を焼野原にして、広島と長崎に原爆を落とされ、中国では現地の人たちを虐殺を含めて大変なことをした、その戦争責任を問う東京裁判で責任を問われることから免れた天皇陛下を、戦前と同じようにその行幸をありがたがって「天皇陛下万歳!」という。その国民性に、大いに疑問を投げかける作品に仕上がっている。