二十世紀中国の革命と農村 田村史起
どうしてこの本を買ったのか。東京新聞の1面下段の本の宣伝にあったと記憶している。中国の土地改革について、昔古本屋で中国関連本を読み漁っていた頃に、元日本兵が敗戦後中国に残って土地改革に参加した記録を新書版で読んだことがあった。
「中国土地改革体験記」 - 天天日記 (hatenablog.com)
もう10年以上前のことだった。
そこで土地改革という言葉が、土壌改善などではなく農地の管理方式の見直しを意味する言葉だと知った。封建時代に地主から搾取されていた農民が、革命により自分たちのものとなる。共有財産であり、すべて共有する考えから人民公社ができ、誰もがそこへ行けば食事ができるというものだった。が、今はこれも終わったというところまで漠然と承知していたが、では今はどうなっているのか。そこのところにきっちりと答えてくれるのがこの本だった。
山川出版の世界史リブレット。山川出版といえば、世界史の教科書で有名だった。自分も学生時代、山川の世界史を何度も読んで大学受験に備えたものだった。あの頃は、単なる受験勉強として世界史を見ていたので、現代史はほとんど教えられず自らも学習しなかった。しかし、今頃になって世界の歴史を要領よく知るにはこの山川出版の世界史リブレットがかなり優れモノだと思われる。また気が向いたら他の地域のことを書いたものを読んでみようかと思う。
で、中国の農村はというと、リーダーが優れてるかどうかで生産力に差が出ている。農村に限ったことではない。会社もそう。工場もそう。ただ最近でいえば不正が排除される時代になったので、昔のように悪徳地主に苦しめられるという場面は考えられない。地主層は文革の時にやり玉に挙げられている経緯がある。
それでも都市部周辺の農家と、内陸の山奥の農家とでは作物を商品として消費者に届けられる限界があるため格差はまだまだ存在するだろう。しかし現金収入の多さと幸福度とは違う、と思うのだが中国社会はまだまだお金がものをいう。日本もそうか。
この本は、社会主義国になってからの中国の農村の支配形態の移り変わりを知るには格好の内容だった。