天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

振り返り日記

  先週の金曜に、久々のイベントに行き「花の億土」という映画を見た。これは芸術家金大偉さんの作品。水俣病の患者に寄り添った石牟礼道子さんが亡くなる前の最後のインタビューを映像にしたもの。

 コロナ禍の中、人数を制限して開催された。

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 水俣病は戦後の日本の工業化の進展に伴う公害の最たるもの。汚水を海に流すという行為が弱者を犠牲にする。この事件から日本は何を学んだのか。何も学んでいないとしか思えない。

 福島原発事故の汚染水を海に流すという方針を政府がしている。基準値以下の水というが、基準自体が都合のいいように変えられている。メディアは「風評被害の無いように」という言い方しかしないが、単なる「風評」ではない。明らかに自然には入ることのない放射性物質が海に流される。その影響を軽いとする根拠はどれだけ研究されたのか分からないまま、経済的理由で処分される。

 映画鑑賞後の話し合いでは、そのことには触れず、むしろ犠牲となった人たちの鎮魂ということについて語る場面があった。石牟礼さん自身、画面の中で「許し」という言葉があった。許しが無いと世の中が次に進まない、ということもあるのだろうが、加害者側は罪を認めたうえでどうするかの話と、しらばっくれて無罪を主張している話とは同じにできない。水俣病訴訟は原告勝利ではあったが、被害者の範囲や保証の内容などまだ完全に終わってはいない。

 

 さて今週は、731部隊展示会に日中友好協会八王子が後援しているので、準備などに参加している。

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これは例年この時期行われる「八王子平和月間」の各種催しが、今年はコロナ感染防止を理由に行われないことが決まった。そこで八王子支部として731部隊の展示を手掛けている五井さんに連絡して、展示会を要請した。

 前にも同様の展示会に協力したが、今回は五井さんが編集されたと思われるビデオ上映もあり、内容が充実していると感じた。展示物は場所の制約で沢山ある中から主だったものに絞られている。初日の準備に行ってみると、意識高い系のおじさんたちが何人か集まって展示をした。写真は準備中の風景。

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 二日目の昨日、手伝いに出かけてビデオをじっくり見せてもらった。

 731部隊については、森村誠一氏の「悪魔の飽食」を読んで以来、この展示会も二度ほど見たりして実態は承知しているつもりだが、今回は原爆被害についてビデオを見て認識を新たにした。

 

 広島と長崎に落とされた原爆は、すでに戦闘能力のない日本に対して落とされた。米国が開発した新型爆弾の威力を確認する目的であった。ということは前にも知って書いていたが、今回は日本が原爆投下の二日後には医者と科学者が述べ1300人も動員して影響調査をしていたことだ。しかもその報告書を英訳してアメリカに渡していた。

 これにより敗戦処理を軽減してもらおうということだったらしい。が、敗戦処理の軽減とは何か、当時の日本人の生きのこりの発言する映像によれば、「731部隊のこともあるし・・・」「心証をよくしておきたい」との考えから行われた。

 敗戦時点では、陸軍の証拠隠滅指令が出ていた。731部隊が捕虜に対して行った人体実験や生体解剖などの残虐行為は、アウシュヴィッツ以上ともいわれるが、そのデータを米国に渡して、関係者は戦犯にならずに戦後の医学界でのうのうとしている。

 この原爆調査団は、被害者の治療よりも影響調査を行うだけのために行われた国家プロジェクトだった。場所は宇品陸軍病院分院。そこに訳6000名の被爆者が集められたが、治療はほとんどされず症状がどのように進むかを調べて記録している。そのデータが米国の調査団が来た時に提供されたもの。現在はワシントンの国立公文書館で見ることができるらしい。

 原爆については、この後、第5福竜丸の被ばく事件が起きる。1953年の米国のビキニ沖での実験地域にいた漁船。この時に被ばくしたのはこの船だけとした学者がいるが、実はその後で実験海域に行って被ばくした漁船もあった。

 

 このほか、公害問題では水俣病の発生から裁判迄の記録を映像で見ることができる。その時々のドキュメンタリーを集約したビデオだ。

 イタイイタイ病の記録もある。神通川流域の水田で働く農家の主婦らが主な犠牲者だ。神通川というと、旧制神通中学、今の富山中部高校を卒業している自分には、身近な問題であったはず。なのにあの神通川べりの高校に通っていたころは詳しく知らなかったことに恥じる気持ちもあるが、そのころは名古屋から転校して大学受験の準備だけして日々を過ごしていたのでやむを得ないか。じかし受験勉強で、世界史をやっていたのに日本の近現代史を知らないで済ませてしまった。今頃になっていろいろと学習している次第。いかに受験勉強が人間形成と無縁の物かわかる。

 さてさて、これからコロナ感染はどうなるか。外国では感染拡大が広がりつつある。一方で封じ込みに成功している(台湾など)国もある。自分的には、外出時のマスクと手洗い、うがいをするほかは通常通りの活動をしている。