森村誠一氏の「悪魔の飽食」を読んで、ハルビン郊外にあった731部隊の残虐行為を知ることとなった。この本は、中国の青年が書いたもの。
出版社は「外文出版社」とあるが、これは北京にある外国語で本を出版する会社のよう。即ち、日本語の本であるが、翻訳ではなく初めから中国人の著者が日本語で書いた。
この人。なので日本の一般の本屋さんでは売られてないが、国会図書館にはあるらしい。私がこの本を入手したのは、この731問題を日本で広く知らしめようという活動をしていらっしゃる方がいて、そのパネル展示会に出かけたときに販売していた。
目次は以下の通り
第1章 石井四郎と七三一部隊
一、日本が国際条約に違反して密かに細菌戦を準備して実行した
二、細菌戦の元凶ーーー石井四郎
三、七三一部隊の創設と拡大及び滅亡
第2章 特移扱
※詳細省略 「特移扱」とは、当時の現地の内部で使われた専門用語で、731部隊送りにする人間のこと。731部隊では実験台として連れてこられた人を「マルタ」と読んでいた。
第3章 人体実験
第4章 細菌戦
第5章 米軍の調査、隠蔽と取引
第6章 旧跡の保護
第7章 総括と再認識
重要な出来事一覧表
最初の章で詳しく書かれているように、この731部隊を率いた責任者が石井四郎。
この問題は、森村氏が書かれたような残虐な人体実験で多くの犠牲者出したこの731部隊のメンバーが戦争責任を問われることなく、戦後の日本社会でのうのうと暮らしていることだ。
敗戦直後の東京裁判が行われているときに、石井四郎は当初葬式を偽装して死んだふりをしていたが、米軍の調査で生存が確認されるや、今度は先般を免れるために自らが行った実験結果のデータを米軍に提供するという取引をした。
先般をまぬがれたのは石井四郎だけではなく、スキャンした次のページの通り。
薄く映って見にくいですが、10人以上もの本来戦犯たるべき人間が戦後の医療や学界、政界の重要ポストについている。
これが日本の敗戦後の構造を物語る端的な例である。石井四郎にはこの活動を命じた上司がいる。それが誰かについてはこの本の中では直接触れていない。
最後にある「重要な出来事一覧」の最初は、次の項目。
1925年6月17日 『窒息性ガス、毒ガスまたはこれらに類するガスおよび細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書』がジュネーブで締結される。
満州に進出した関東軍が細菌研究所を設立したのが1933年。この時点で細菌を戦争の道具に使うことは違反行為であった。そして最後の項目は、
2015年8月15日 侵華日本軍第七三一部隊罪証陳列館の新館が正式に一般公開された。
とある。本件に関するこの間の出来事が時系列に列挙されている。
私がハルビンに行ったのはちょうど8年前で、2012年のこと。この時はまだ記念館も整っていなくて、昔の建物の残骸があるだけだからと言って、当時案内してくれた現地の大学生もそこに連れてゆこうとしなかった。
この本によると、日本軍が撤退した後の大躍進や文革でこの跡地はかなり荒れていたらしい。
さて問題は、ドイツがアウシュビッツで同様のことを行ったことについて、戦争責任を問われただけでなく、国として正式に謝罪をしている。それに対して日本の政治家はこれだ。
この写真はフェイクではない。これが世界に出たときには大きな反響を呼んでいる。
実際731部隊の生きのこりだけではない。この写真のアホの祖父がA級戦犯のはずの岸信介で、米軍と取引の上処罰を免れて、総理にまでなっている。
日本はまだこのレベルなんだ。民度低っ!
気が抜けるけど、今日のひとこと
Every Day, Tell at Least One Person Something You Like, Admire, or Appreciate about Them
アメリカ人なら家族に"I love you"のひとことだが、日本人にそういう習慣ないし、コロナで家にこもっていると外の人に会う機会が無いし。