天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

菜の花の沖縄日記

 菜の花のつく本としては、司馬遼太郎の「菜の花の沖」ってのがあったが、これは全く関係ない。

 本名が菜の花という高校生が沖縄で体験した日記。来年映画化されるそうだ。

 金沢の人で、やはり金沢在住で憲法カフェなどで活躍している水野スウさんのFacebookでこの本の紹介を見たのだったと思う。

 珊瑚舎スコーレという無認可の学校で3年間を過ごした。その日記で、いろいろな体験を通じて感じたことが書かれている。

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 本名が坂本菜の花で、本はついこの前の8月12日に初版。出来立てほやほやを少し本棚に飾っておいた。読みだしたらサラッと読んでしまった。

 とてもいい高等教育を受けたのだな、という感想と同時に大人も励まされる内容になっている。

 沖縄で3年間を過ごして、やはり感じるのは基地の存在に対する問題意識と、沖縄の人たちの明るい人柄。人を思いやるやさしさ。

 首里城が焼け落ちたというニュースは、思えば沖縄の人にとって、「心のよりどころを失ったような気持ち」という人がいたが、その通りなんだろうと思う。

 ヤマト(本土の人たち)とウチナンチュー(沖縄の人たち)との関係は、征服と支配であり、それは明治維新のころの沖縄処分以来続いているものだ。ということにこの著者の少女は思い至る。であるから沖縄から基地が無くならないし、県民投票で示された民意を無視して辺野古新基地建設が進められている。

 明治政府による沖縄処分以前は、沖縄は独立国だった。その中心が首里城だった。

 独自の文化を持ち、平和に暮らしていた。太平洋戦争に巻き込まれたとき、米軍の上陸に対して集団自決を強いたのは日本の軍隊であり、兵隊のいない壕に逃げた人たちは生きるために白旗をあげて外に出た。ということを著者の菜の花さんは、この珊瑚舎スコールの夜間中学に学びに来ている戦争経験者のお年寄りとの交流で知る。

 この学校を経営しているのは星野と言う人で、本土で学校の教師をしていて、退官後に沖縄でこうした学校を開いた。活動は広がっているらしい。生徒たちが、色々経験や交流をして自ら考えて行動するようになる。素晴らしい教育をしている。そういう学校が沖縄にある。星野さんは、沖縄でやらせてもらっている、という言い方をしている。

 大学受験の為にあるような、本土の所謂一流高校では考えられない。著者の菜の花さんは、今は卒業して金沢の実家の家業の旅館を手伝っている。大学進学はしていない。無認可の高校校だったので、高校卒業資格がないという事情なのだろうか。行きたい学校が無いのかもしれない。そのうち日本に限らず、学びたい学校が見つかれば行くかもしれないし、そもそも行く必要が無いかもしれない。

 この本は日記であるが、このような文章表現ができること自体、文筆家としての素養は十分ある。

 星野氏は、人間は文書を書くことで人間として存在し得るということを書いていた。

「学校は一つの文化。それを体験することによって人間が解放されていく。そういう学校にしなくちゃいけない。」という考えてこういう学校を立ち上げた。実践しているところがえらい。

 一昨日は、孫のところに行って、両親が帰るまでの世話をしていたが、この日はたまたま友達と遊ぶ約束が無かったせいで、宿題をしたほかはTVでYoutubeを見ている。それを見ていて、何か塾でも行かせた方がいいのではないか、習い事を増やした方がいいのではと考えていたが、この本を読んで少し考えが変わった。

 孫リンに、この学校を薦めるてはどうだろうかとも思う。まず親にこの本を読んでもらおうか。