天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

24 誰もやらないのなら医者の私がやります

 最高に素敵な本。板橋区役所前診療所の物語という副題で、島田潔、鈴木陽一、藤井秀樹著と3人連名の著者になっている。
 この板橋区役所前診療所というのは実在の医療機関で、ホームページを見るとよくわかる。
http://ita-shinryojo.jp/index.html
 3人連名の著者はここのお医者さん達で、島田潔医師がここを 一人で立ち上げて、今や仲間の先生やスタッフの人たちと楽しく仕事をしている。この診療所は、ビルの3階にあるがそこは事務所のようなもので、医療は訪問医療を行っている。

 創設者の島田医師が、人のために生きようと医者になり、医者になったものの白い巨塔にいては患者さんに本当に必要なことができないと、若いころから板橋で訪問医療を始めた。これに同調する人たちがこの診療所に医師や看護師として加わって、今や結構な大所帯になっているらしい。
 読んでいくと、在宅看護の実態が生々しくよくわかる。
 それにつけても、自分は自分の体のことで周囲に迷惑をかけたくないとつくづく思う。時が来たらさらっとあの世に行く準備をしなくてはならない。こんな素敵なお医者さんがそばにいたら助かるけど、これは本当にまれなことで、一応何かあれば医者には行くが、多くを期待できない。と思っておいたほうがいい。日本の医療機関の実態とはそんなものだ。自分の親が両方医療機関にお世話になったが、必ずしも適切な診断、治療を受けていないで他界している。
 私が子供のころは、少し体が弱かったので医者に往診に来てもらったり、夜遅くにその医者(開業医)のところに連れていかれたこともあった。ああいう生活と密着した医療は昔のことかと思っていたら、この板橋区役所前診療所は、その頃のように医者と患者が人間的なつながりの中で病気を治してもらうという関係が続いている。そういう活動を目指してこの診療所は存在している。なんてこった。
 今や訪問医療の大半が介護の必要な寝たきり老人となっている。病院に行きたくてもいけない人ばかりではなく、病院に行きたくない人も、顔見知りの医者の訪問なら受け入れるということもある。
 行先は普通の家ばかりではない。家族が冷たい、お金がない、家の中がごみ屋敷状態など様々な問題の中で寝ているお年寄り。そういう状態では、病院で患者の来るのを待っている医者には何も問題解決ができない。訪問医の人たちがやるのは医療だけではない。患者さんの生活改善にとっても貢献している。
 日本にこんなマインドのお医者さんがたちがいることが分かっただけで、なんかうれしくなる。しかし自分はできるだけ医者の世話にならないように、血圧とコレステロールも自助努力で健康な状態に戻して元気でいたい。生きてるうちは元気よく。
 この本にも書いてあったが、年齢とともにいわゆる老衰から自然死に至る道が用意されている。いくらいいお医者さんがいても、誰も悲しませないで終わるのがいい。しかしまだ早いぞ。徳川家康は、65歳からいろいろと活動したが常々自分の健康には気遣っていたらしい。ピカソは65歳で若いフランソワ・ジローに恋をして一緒に暮らし始める。
 おっと話がそれたが、とにかく素敵なお医者さんたちがいるもんだ。気分が明るくなる。