天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国音楽の現在 増山賢治著

 犬も歩けば棒に当たる。あたった棒のような本がこれ。いつだったかブックオフで時間調整していた時に見つけた本。何しろ中国の音楽のことを書いた本など初めて見た。著者は東京芸術大学民族音楽を専攻した人。
 こういう本に目が行くようになったのは、言わずと知れた二胡二胡ファンになったおかげで、その二胡の歴史や背景などにも興味を覚えるというわけ。

 本が書かれたのは20年以上前の1994年。中国が改革開放から次第に近代国家としての様相を呈し始めた頃か。ここに書かれた内容から、女子12楽坊が出る前の時代ということが分かる。タイトルに現在とあるが、したがってそのころ現在であり、今の様子は自分で見ている通り。
 本は古いが、昔のこと、すなわち中国の音楽の歴史と地域の広がりの中で各地の特徴など、よく観察、分析されていて貴重な本だ。二胡をやる身にとって素養として知っておきたいことが書かれていて、とてもよかった。
 現在の日本では、中国の楽器といえば二胡が最も知られていると思うが、中国の伝統楽器には箏、琵琶、笙、太鼓などなどいろいろある。二胡の仲間も弦が4本の四胡などいろいろな種類がある。ということが書かれている。
 そういう意味で、先生からも聞いていたが、二胡が今のようになったのはたかだか100年くらいのことで、劉天華とかアービンという二胡奏者が出てからということだ。それ以後、二胡という楽器が独奏楽器としての地位を得たということだが、それ以前はどうだったかというと京劇などの伴奏が主な役割だったということだ。
 それと、京劇というのは北京地方の劇だが、似たような演劇は各地にありそれぞれ呼称が違う。そして、中国の伝統音楽の広がりはアジア各地に広がっているが、その音楽は潮州音楽が中心ということだ。つまり、華僑の出身地域の音楽が外地で受け継がれているという事実。それもそうだと思うが、なかなか興味深い。中国本土では今やすたれかかっている潮州音楽がタイでは中国音楽の代表のように演奏されているということだ。
 音楽の視点でアジアを旅してみたくなった。