天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「この日本、愛すればこそ」 莫邦富

 この本は、莫邦富さんがFacebook上で出版したことを伝えられたときにネットで買ったものだ。タイトルを見た時は、日本を愛するという言いまわしがやわな右翼的な印象を与えないかなと思ったが、読んでみるとこれが莫さんの偽らざる心境であることがわかる。
 内容にとても感動した。サブタイトルに有る通り、氏の日本語又は日本と関わりを持つようになってからの40年が、分かりやすく、読みやすく書かれている。日本語の専門家でジャーナリストだけあって、どこをとっても不適切な言葉はなくさすがだ。

 昨年12月に文庫本で出版されたが、元は12年前に「これは私が愛した日本人なのかー新華僑30年の履歴書」という本があり、これに2章を加えて40年の履歴書になった。
 この時代に日中の懸け橋で居続けることにかける決意が最後に示されている。
 私も、仕事がきっかけで中国と関わりを持つようになって以来、よくよく両国の関係の大切さを考えるようになった。このブログも中国好きのまっちゃんとして書き始めた。今日的な日中の関係をあぶりだせたらいいかと思っていた。自分自身が中国に行き、あるいは中国の文化に触れて、肌で感じたことどもを書きつづっておこうという趣旨だが、なかなかネタと、思いと、時間の余裕(配分?)が思うに任せないところもあり、日々反省している。
 そんな中で、莫さんの本も少し読み、一度八王子にも宋慶齢基金の集まりに講演に来られたときにはお話を伺ったこともあった。
 今回この本を読んで、今の日中関係がよくわかるホントにいい本だなと感じた。多くの人に読んでもらいたい。少しでも中国に関心のある人。仕事で中国と関わりのある人。中国を嫌いな人。嫌いな人、というのは偏見を持っている人に他ならず、偏見を見直すことすらしようとしない人だが、そういう人にこそ読んでもらいたい本だ。中国人の犯罪が多いとか、報道されることだけをうのみにして中国嫌いになっている。残念なことだ。そういうことの背景も明らかにしてくれている。
 莫さんは、自分より二つ若いようであるが、一言で言えば文革の時代を経験した苦労人で知日派。よくぞ日本に来てくれた。18章で書かれている「精衛塡海」がご自分の立場だとされるところに頭が下がる思いがする。
 日中関係を建物に例えると、耐震工事が必要だという。地震は来るもので、そうれに耐えられる関係構築のために、せっせと小枝を運び続ける鳥のように活動を続けるという決意が述べられている。微力ながら、私も小枝を運ぶお手伝いを続けたい。それには体調にも気をつけないと、何もできなせんがな。