日中首脳会談
来週10日から北京で開かれるAPECに合わせて、日中首脳会談が開かれる運びとなった。という記事が、日経新聞の一面にデカデカと出ている。日中関係を改善してゆく動きがあることを、メディアがこれ見よがしに、政府に協力していますよ的に書いているように見えて白々しくもある。
隣同士の国の首脳が、会議で集まる機会に面談をするのはごく普通に行われていいものだろう。それを殊更大きな記事として取り上げるような関係になっていたことが問題なのではないか。
第一次、第二次の世界大戦で敵同士であったドイツ、フランスでさえ今やことある度に頻繁に会っている。日常的に会談が持たれていると言ってもいい。
日中政府がここまで関係悪化した原因は日本政府にある。尖閣列島に関して明らかに失策をやったことが原因にある。新聞によると日中の首脳会談は2011年12年の胡錦涛、野田会談以来だという。3年ぶりとなる。
その後、2012年4月に当時の石原都知事が都による尖閣列島購入を突然ワシントンの講演で言いだした。そこから一気に関係が悪化したわけだが、その失態をかばうかのように国有化するなどということが検討された。この情報は外交筋で中国側に知られており、2012年9月にロシアのウラジオストックで開催されたAPECの際、会議終了後に胡錦涛主席は野田総理に対して「日本政府は事態の重大性を十分に認識し、軽はずみな行動を慎んでほしい」と申し入れをされたらしい。
その直後に、国有化の閣議決議がされた。面目を失った中国政府側は、これ以降色々計画されていた日中交流の催し物をことごとくキャンセルすることとなった。
こうした経緯を振り返ると、来週の首脳会談では、安倍総理には余計なスタンドプレイはしないで、お膳立てされた筋書きを形式的に無事にセレモニーとして通過してほしい。今回お膳立てされた内容は決して悪いものではない。領有権などという言葉も使わず、40年前の国交正常化の状況に戻すだけ。それだけでいい。あとは経済交流、民間交流に任せておいてほしい。
中国側も、よく言われることは、中国内の不満を外にそらすために抗日を煽るということがあるが、今はその時期ではないだろう。中国で直接日本人に会ったことの無い人達は、日本と言えばテレビ番組で見る、侵略戦争時の日本軍のイメージしかない人がいまだに多い。そういうことも、今後の往来を増やすことで徐々に認識をお互いに深めてゆくことができるだろう。その線で自分も今の活動の方向性を継続しようかと思う。