天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

雲外の峰 陳舜臣

 陳舜臣さんの随筆集だ。小説家である陳舜臣さんは、雑文はあまり書かないようにしているつもり、とこの本のあとがきに書かれているが、いろいろなところに連載などを含めて書かれている。それらを集めたもので、1989年の天安門事件の前に出版されている。

 中国の文物を評した文章が集められており、時代を超えて読み応えがあり、大変参考になる。ことさら、鑑真和上や空海について書かれた箇所は興味深かった。というか、この人たちに対する自分の認識が浅いことを思い知らされた。
 でもって、昨日は職場の地階にある本屋さんや、ブックオフでそれらに関する本を探していたがピンとくるものが見つからなかった。代わりにすごい本を見つけたものの、購入を思いとどまった。手元に読むべきものが在り過ぎ。
 もともとこの「雲外の峰」と言う本も、自分で在庫本と分類していたもので、数年前から積読状態だった。しかし、さすが陳さんの著作だけあって、読んでみるとなかなかいい。今の仕事を退職した後にやることを色々考えてはいるが、こういう本をじっくり読んでは、そこに書かれたことを確かめてみる旅などするのもいいかと思う。
 例えば、鑑真の出身地は揚州ということを知ったが、ここは今の二胡の先生の故郷でもある。場所は上海と南京の中間くらいだろうか。割と簡単に行ける場所だ。写真を見ると水路がゆったりと流れる風景もあるらしい。
 ところで、購入しなかった本とは、満州731部隊が何故免責になったのかということについて、731部隊の生き残りの人に取材した本だ。アメリカとの取引で、研究成果を引き渡す代わりにそこでの罪状は免責となった。そこにいた人達は戦後、今のミドリ十字の前身である民間のブラッド・バンクを起こしたとのこと。日中友好協会の知人に伺った話が、その通り書かれていた。立ち読みレベルで内容を確認してしまった。