天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

鄭和

 中国の大航海時代を築いた伝説の英雄、というサブタイトルがついた本。太佐 順 という人の著作。
 これは、明代中国の航海家として割と最近語られるようになった鄭和と言う人の航海を題材にした小説。
 鄭和の想像画が表紙に書かれている。いかにもまだだれも経験した事のない大航海を経て、未知の世界と交易をした勇敢な男、のようであるが彼は宦官であった。従って、あとがきによると子孫もいるがそれは養子とした子どもの系列となる。
 鄭和という人が割と最近まで知られなかった理由は、この時代の航海の記録などを記したものが残っていなかったためらしい。権力争いや世代交代の度に貴重な文献が失われているのは残念だ。
 当時の航海は、あくまでも皇帝の命により出かけるもので、朝貢物資や国の使いを連れてくるという仕事と位置付けられていた。時代は、コロンブスの新大陸発見よりさかのぼること60年。鄭和の率いる船団の一部が南米までたどりついている。
 物語は、淡々と調べた事実に基づいたことを書きつづっているが、今でさえ国家、地域間の争いやもめごとが絶えないのに、当時、未知の地域に踏み込んだ時の、現地の住民たちとのやり取りでは、結構すさまじいものがあったに違いない。
 あとがきのところで、ベネズエラアメリカを発見したアメリゴが故郷のベネチアに似た地域だというので、ベネズエラと呼んだのが地名となった、などなど、当時の航海の逸話などが記されていて面白い。