天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

あるがままに

 この前の土曜日のTV番組、週間ブックレビューの特集に、直木賞作家の葉室 麟さんが出ていた。「蜩ノ記」の紹介だったのだが、何か彼の人生観に何かとても感じ入るものがあった。
 「蜩ノ記」という作品は時代物で、10年後の切腹を命じられた藩士の生きざまを題材にしている。解説を聞いただけで読んではいないが、氏の話のポイントを聞くと、物語のエッセンスを知ったような気になった。
 10年後の切腹ということは、とんでもないことのように思えるが、氏によれば人は生まれた途端に死に向かって生きて行くのであって、ずっと生きていることはあり得ない。(先般見たTIMEという映画ではありうるが、これは冗談。)なので、誰も一定の年になると死ぬことを意識しはじめる。我々などはそろそろ意識。そうなると、日々をより良く生きることが、残りの人生を充実したものにしていくことになるだろう、と実感し始める。
 死は、誰にも来るのであるが、それがいつなのか分からない。それが10年後の切腹というのは、いつ来るのか分かっていることになるので、冷静な人なら残りを考えて上手に時間を使うことができるであろう。冷静になれるまでは、うろたえることがあるかもしれない。今読んでいる北方水滸伝11巻にふと印をつけていた記述がある。
 「人は、たやすく死ぬし、なかなか死なない。死んでもおかしくない者が生き、死ぬはずのない者が死ぬ。それは死ぬ時が決まっているからではないのか。
 その時が来るまで、死にたくても、死ねない。時が来てしまえば、死にたくなくても死ぬ。そしてそれぞれの人間が、その時、を待っている。」
 だからじたばたしても仕方がない。運命に従って、そして心の命ずるままに時を刻むしかない。あるがままに。サラムと言うしかない。