天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「医者井戸を掘る」中村哲著

 2000年6月からアフガニスタンでは大旱魃が起こった。そのために何百万という人たちが生活できなくなり難民化した。その頃のアフガニスタンと言えば、バーミヤンの石像が壊されたり、タリバンが悪者のよように語られたり、ということは世界のニュースになり、とんでもないところというイメージが世界中にできた。
 まさにその頃、旱魃でそこに住む庶民が大変な困窮状態にあったことなど、対して報道もされなかった。
 当時ペシャワールでらい病治療に取り組んでいた中村医師は、患者の病気が水不足による下痢などの症状が増えたことで、旱魃がもたらす影響が病気の根源であることを知る。そこで取り組んだのが井戸掘りだった。
 井戸掘りと言えば、私も知らなかったが「風の学校」というのがあって中田正一さんという人が世界各地で井戸を掘ることで、世界各地の水不足で困っている人たちを助けていた。その中田さんは、元々アフガニスタンで井戸を掘っていたこともあったらしいが、この時期もやってきて中村医師の活動に協力をした。井戸掘りに関しては素人の中村医師が風の学校に助けをもとめたらしい。
 海外援助で井戸を掘るという話はよく聞き及ぶところであるが、しかしてその実態はなかなか惨憺たるものらしい。たとえば、掘りやすところに機械で掘って終わり。そこに住む人たちは、はじめは大変喜ぶがメンテナンスができないのだ。継続的な援助でない限り、地元の技術でやってゆけるものでなくては続かないのだ。援助する側の一時的な自己満足に終わるのだ。
 ともあれこの時期の中村医師の井戸掘り活動により、600を超す井戸が掘られ、実に多くの人たちが難民化することを免れ、以前と変わらぬ生活を維持することができるようになった。
 この本は、その井戸掘り活動の実態を記した報告であるが、最終章憂鬱の日本という章で、日本のあり方を書かれている。戦乱の中で生き抜こうとするアフガンの人たちの社会から日本を振り返ったときの憂鬱だ。心に響くくだりがいくつもあるので、書いておこう。
「餓えや渇きもなく、十分に食えて、家族が共に居れる。それだけでも幸せだと思えないのか」
「戦争以上の努力を傾けて平和を守れ」「平和は戦争以上に努力と忍耐が要るであろう」
「日本の豊かさは、古来から我々の先祖が営々と築いてきた勤勉と徳、人間−自然の同居の知恵であった。しかるに、戦後の豊かさは、これらを否定することから出発した」
 ロベス・ピエールより『自由と財産の権利は大切である。だが人権のうち第一のものは生存する権利である。自由と財産は人間生存に必要である。(だが)殺人的な貪欲と、責任な放埒に乱用されるべきではない』すなわち「(西欧の)民主主義と人権の提唱者たちは、『自然に帰れ』と叫んだのである。ここに東洋思想と大きな隔たりはない。」
 しかるに、原子力エネルギーなどという、人が制御しきれないエネルギーを安価であるという理由で使い始めた我々は一体どこへゆくのか。