天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「医者、用水路を拓く」 中村 哲

 医者、井戸を掘る、と言う本の続編のような本。井戸から用水路になった。
 そういう単純な話ではない。アフガンスタンで活動する中村医師の2001年から2007年の記録ではあるが、いつもながら氏の書いたものを読むと頭が下がる。
 2001年の同時多発テロにより、アフガニスタンの人達はテロリストに対する報復という理由でほとんど無差別に米軍の攻撃にさらされるはめになった。そこに大干ばつに見舞われて300万人の難民を出すことになった。
 そんな状況下で、医療活動から水源確保、そして砂漠化したアフガンの地にもう一度農業を復興させようと水路建設に取り組んだ日本人が中村医師だ。
 この期間に13キロに及ぶ水路を作り、多くの難民が故郷に戻ってまた農業で自活できるよう導いたのだった。水路を作ると一口に行っても、土木の専門家でもなく、日本や先進国のよう十分な機械類もそろっていない中での土木工事だ。しかも予算は日本のペシャワール会を中心とした支援金のみ。
 中村さんと言う人がいなかったら、この事業は成り立たなかった。この間、日本からの支援者も色々な分野で何人かいたが、中村さんの活動に参加と言う形で出かけた。現地での労働力は現地の数台の重機やダンプ以外は人力による。わずかな日当でも、我が故郷で農業の復活を願う人たちが集まって働いた。
 当初の予算を大きくオーバーしながらも、13キロの水路を完成させ、周辺に緑が戻った様子を見たとき、中村医師は「自分の人生が、すべてこのために準備されていたのだ」と思った。

○中村医師の活動を支援するペシャワール会
  一般会員:年会費一口3000円以上、維持会員:10000円以上