昨年アフガニスタンで銃撃に倒れたペシャワール会の中村哲さんの事業に参加していたボランティアワーカーの本。一連の中村さんの本を読んでいたころに買い求めておいた。
中村哲さんが行われていた事業に参加した人たちが、ペシャワール会報に寄せて書いた記事が集約されて本になっているもの。
年代的には1988年から2006年までの間に現地に行ってボランティア活動をした人たちの手記。医者、看護師、井戸掘り関係、農業指導、水路工事に携わった人たち。
老若男女いろいろな人たちがアフガニスタンに行っている。しかし2008年にボランティアで行っていた伊藤和也氏がテログループに拉致されたうえ銃で撃たれて亡くなるという事件が起きた。これ以降、中村氏は現地の活動はそれまで育ててきた地元の人々を中心とする方針として、日本からのボランティアは極力少なくして活動を継続されてきた。
この本の手記は、伊藤さんの事件が起きる前のことで、主には表紙の写真にあるような若者たちがとてもいい経験をする場となっていた。
中村氏がアフガニスタンで活動するようになって以降、ロシア軍の侵攻があり、2001年の911以降はアメリカがテロリストを攻撃するということでアフガニスタンを空爆するということがあった。とても物騒な中、日本人は攻撃されない、中村さんの活動は現地の信頼を得ているということで、ボランティアの人たちも誇りをもって活動していた様子が記されている。
日本の田舎で仕事をするのではない。言葉も文化も生きざまも異なる場所で、そこの人たちと一緒に何かをするということがどういうことか。手記を読んでいるとよくわかる。
それと、国際貢献としていろいろな国の政府関連組織が活動をしているが、本当に現地の人たちが必要としているもの、求める事なのか、アフガニスタンでそういう活動がどのようなものかについても書かれているのでその偽善的な振る舞いがよくわかる。
あとがきで事務局の福元さんという方が書いておられるが、ペシャワール会の方針は
1、みんなが行くところには誰かが行く、私たちは誰もいかないところに行く。
2、支援者(あるいは国際社会)にとって必要なことではなく、現地の人々にとって必要なことを行う。
こうしたことは、官僚の天下り先のような組織にはできない。最近では南アフリカで日本のODAですすめていたモザンビーク計画は、現地農民の反対の声に押されて中止となった。こうした官製のものは現地の人に迷惑なことが多い。
それにつけても中村さんの活動は貴重だった。にもかかわらず、昨年末中村氏は銃弾に倒れた。どうしてこうなるのか。それは安倍政権になって、日本が海外派兵をする国になったことで、アメリカの一味とみなされるようになったこととしか考えようがない。安倍は日本という国を貶めた。何人もの犠牲者が出る。真面目な官僚を自殺に追い込んだ。
聞くところによると霞が関の若手官僚のかなりの人たちが、こんなはずではなかったということで、転職を考えているらしい。自殺した赤木さんのように国民のために仕事をしようという志を持った人たちが失望している。一日も早くこの状況を変えなくては。コロナよりひどいと思う。