天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

女書

 あまりテレビを見る方ではないが、食事のときなどにチラリと横目で見ていると、最近は中国に取材した番組が増えている。今日も「旅のチカラ」という番組で、日本の若い女書道家が中国を訪問していた。西安で大学生たちとパフォーマンスをした後、湖南省の女書を訪ねた。
 女書と書いて、テレビではニューシュと発音していた。これは中国式の読み方。女文字のことだ。漢字とはことなる文字だ。流れるような曲線で表現される文字。女性の文字だと言うので、日本のひらがなのようなものかと思ったら、ちょと違う。あくまでも漢字と同様の役割のようだ。漢字が簡略化されているという点では似ているかもしれないが、役割は漢字と同じ表意文字であり、ひらがなのような表音文字ではないようだった。
 なぜこのような文字が生まれたのかと言うと、男は学校に行って漢字を習うことができるが、男尊女卑の時代の中国では女性は学校にもゆけず、文字を習うことができなかった。そこで、女性同士の意思伝達の手段として、このやわらかな文字が生まれたということだ。
 2、3百年前のことだというので、女性はみな纏足であっただろう。農村では男たちは外で百姓や出稼ぎに行き、女たちは助け合って暮らしていたのだ。農村の女性といえば、貧しければ真っ先に口減らしの対象となるし、売られてしまう。そういう状況下で、女性たちの結束は固い。特に親せき同士ともなれば助け合って生きてゆくのが常。このことは現代の農村出身の女性たちも同じだ。
 同じ村から都会に出稼ぎに出て、頼りにするのは同郷の女性たち。なかでも親戚同士の表姐(ビャオジエ)<「従姉」のこと>達とは仲良くしているようだ。
 ところで、この女書は湖南省の江永県に住む揺族(ヤオゾク)に伝わると言うが、もはや絶滅の危機に瀕しているという。昔と違って小学校で普通語教育がされるようになってからは、教育を受けられない女たちの自立の道具である女書は、もうその役目を終わったのかもしれない。しかし、文化として受け継いでもらいたものだ。
 湖南省の農村というのは、毛沢東もそのあたりの出身だが、歴史があるだけに、意識の高い女性も多いのだろうか。湖南省出身の女性を一人紹介されたことがあるが、仕事を色々しながら英語も習っているという、努力家の女性だった。なんにせよ、助け合う中国の女性達とうのは、愛すべき人たちであろう。強い人もいるが。