「とるにたらないものもの」
これは、江國香織さんの本のタイトル。これもやはり数年前のブックレビューで紹介されて買い置いた本のはず。この本の一番いいところはそのタイトルだ。
「とるにたらないものもの」というのは、そのとるに足らない物たちに人格を与えているようで、いない。「ものたち」と書けば人格を与えていると言えるのだが、「ものもの」だから微妙だ。
そのとるに足らないものものを、文章にしてしまうところがスゴイ。スゴイけれど読んでみると元々が取るに足らないものどもなので、大した内容ではない。だが、誰もあえて言わないけれどあるものに対して誰もが感じていることを、あえてわざわざ書いてみるという発想が面白い。
なので、どのもの一つとっても肩がこらない。ひとつのものについて2,3ページで述べられている。寝る前に、寝床の中で一日の疲れをいやしながら、ひとつ読んでニコッとしてスヤスヤ眠れる。そういう感じだ。
そういうわけで、私もとるに足らない事ごとを書いていることがあってもいいとしよう。