「共生経済が始まる」内橋克人著
内橋さんの本は、3冊目となった。これでその主張するところは、理解できた。が、その反対の言い分も見ておかなくてはという気もする。現在、郵政民営化の見直しが行われている最中であり、これにより雇用が拡大するとのことだ。それはいい。しかし、その組織のサービスレベルはどうなのか。半官的な組織で働く人々の労働意欲、労働の質をどうやって確保するのか。
競争の原理で、消費者、サービスを受ける側はサービスの質が改善される期待があった。一口に、民営化がいいとか、悪いとか意見があるが、問題はその内容なのだ。
そういうことも感じるので、内橋さんの主張の総論は賛成できるが、いざ実行となると、実効ある動きがどこまでできるのか。北欧の先進国の実例が出されており、ある面で理想的な状況で述べられている。本当にそうなら、もっと取りざたされるべきだろう。制度はいいとして、そこに暮らす人々の様子を直に見てみたいものだ。
多面的に物事を見てゆかないと、判断を誤る。私自身が判断を誤っても、大勢に何の影響もない。それは分かっているが、見るべきものを見て、主張すべきは何らかの形で主張しておくのが良心だろう。そういう時間の使い方をしたい。それには、目前の問題を更に真摯に考えて、行動しなくてはならない。
内橋さんの著書は、もう一つ読んでみる。「もうひとつの日本は可能だ」というタイトルの本。日本人だけの視点でいいのか、という気もする。日本が日本の問題を解決することで、世界の問題解決に繋がるという図式が成り立つのか。それならまず日本、ということでもいいが、各国の事情は色々異なる。内橋さんの言う「グローバライゼーション」はよくないのかもしれないが、グローバルな視点でものを考え、行動することは是とし、好ましいとずべきだと思うのだが。