もうひとつの日本は可能だ
やはり内橋克人さんの本。内橋さんご自身は鐘を鳴らす人、ということらしが、この本には実践している例とか、同じ志で鐘を鳴らす人(外国人)が紹介されている。何を実践しているかというと、市場競争万能の構造改革政策に抗して、地道なものづくりだとか、農業、あるいは米国の例では、地域のバーモント州の酪農を守ることをマニュフェストにしたアイスクリーム屋さん、ベン&ジェリーの成功例が紹介されている。
世の中は、大切なことに気づいて実践している人たち、そして成功している人たちがいる。そういう人たちが成功するということは、その活動を指示する消費者が確実に存在するということだ。したがって、世の中はまだ捨てたものではない。
アメリカのアイスクリームは美味しい。ベン&ジェリーのアイスクリームが特別美味しいという訳ではないが、バーモント産の牛乳しか使わない、と宣言することで、その地域の酪農農家を支援しようという気のある人、ほかに怪しげな乳製品を使用していないことで、安心して、安くなくても買う人がたくさんいるということだ。
ところで、翻って日本の場合、個人的に同様に頑張る人たちもいるわけだが、こと農業のことに関しては政策がまずいらしい。何が?自給できる農業環境を持ちながら、自給できないレベルまで減反してきたことだ。日本が自給できればいい、ということだけ言うと、日本さえよければいいのかと考えたりするが、そうではないことが分かった。世界は食料不足なのだ。作れる国は作らなくてはならない。日本はいい農作物を作れる恵まれた自然環境を持ちながら、米国から輸入をしている。米国の農業政策に貢献している。その結果、米国で作られた農作物が、アフリカなどの食糧難にあえぐ国々に回って行かないのだという。
WTOもまずいらしい。私がWTOなるのの存在を意識し始めたのは、中国がこれに加盟してからだ。中国が世界経済の動きに参加するのだと、正式表明したようなものだと思っていた。しかし、この機構は、その実いろいろと結局先進国の経済に都合のよい動きを推進をしているに他ならないらしい。その辺は、フランスのスーザン・ジョージさんが「WTO徹底批判」という著作で詳しく主張されているらしい。
いろいろ読まなくてはならない。ここまで、無知であった分、取り返しの学習をして自らも主張してゆかねばならないだろう。地道な研究とか物作りができる分けではないので、主張し、一人でも多くの人に気づきを悟ってもらわねばならない。でき得れば日本だけでなく、中国においても。
まず別の日本が可能であると同時に、その路線で世界が動いてゆくことがなければならない。