天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

武漢−広州 新幹線の旅(2)

 この新幹線は、そもそも中国の内需拡大策の一環としての公共工事の位置づけのはず。北京−天津で乗った新幹線の名前も、武漢−広州の列車も、同じ「和諧号」だ。当初、「和」という字が付いているので、日本の技術で出来たものかと思ったら、そうではなかった。胡錦濤の「調和社会の建設」という和諧路線を象徴するものだと思われる。なので、和諧号という名の列車が中国全土を走るのだ。
 ともあれ、新幹線は一人旅になった。2等とはいえ、左側3席と右側2席のつくりはゆったりとしている。前後も余裕があり、飛行機のエコノミークラスのように、シートを後ろに倒すと後部座席の人が迷惑するということはない。室内はこんな感じ。
 ところで、この新幹線は、従来の鉄道路線とは別に専用の線路と、駅まで専用にできている。北京南駅というところに初めて行った時、そこが新しく、近代的で、飛行場のターミナルビルを連想させる建物とアプローチができていたのに驚いたが、武漢の場合も同じだった。元々武漢は武昌、漢口、漢陽の3つの町が隣り合わせになっており、その総称が武漢であり、鉄道の駅もそれぞれあるのだ。そこで、新幹線用には武昌区内に武漢駅というのが今回できたと言うわけ。
 ともかく和諧号の1号車に乗り込んだ。

 3人がけの席の窓側に座り、一つ空いて通路側には身なりのいい若い女性が座った。新幹線には身なりのよくない人は乗ってこない。何しろ飛行機より高いのだから、富裕層またはそれに近い人たちの乗り物なのだ。出稼ぎ組が田舎と街を行き来する乗り物ではない。私の乗った和諧号は11時40分の定刻どおり静かに武漢駅を発車した。速く走るはず、と思っていたので、しばらくの間、目の前の速度表示に注目していた。発車してから10分後には、最速スピード352Kmに達した。ゆれは少なく、音も静か。快適、快適。

 さて時間はお昼時。社内販売で、弁当などが来るだろうと思っていた。香港−広州間の特急列車で見たお弁当や、中国の食べ物を売りに来るだろうと期待していたが、そうではなかった。来るには来たが、日本の新幹線の物売りと同様の風情で、品数は乏しい。スナック系のものと、小ぎれいな容器の飲み物しかない。ガックリして水だけ買った。
 空腹をごまかすために、日本から持ってきていた苺味のチョコレートを出して食べようとして、関口智宏氏の中国鉄道の旅を思い出した。乗り合わせた人たちと、食べ物も分け合うのが中国風なのだ。そこで、横に座っているお嬢さんに「日本のチョコレート」といって、1個づつ包装してあるチョコを3個渡したが、見事に断られた。富裕層はこうなのか、と少しつまらなくなっていると、「日本人か?中国語がうまいね」ときた。先ほど水を買っている様子を見てのことだ。そして自分の荷物から、カモ肉のソーセージのようなものをくれた。
 戴いたものは美味しかった。自分のチョコも一つ二つ食べ、「これは美味しいよ」と言って押し売りすると、一つ食べたが、私には甘すぎると言って二つ返してきた。その後、私が駅に停車するたびに写真を撮り、ノートに時間などを記録していると、彼女はノートを覗き込んできた。日本人がどんな字を買ているか興味があったのだろう。私的には、下手な字をマジマジと見られて面白くないので、会話はそこで途切れたままとなったが、その気になればお友達になれたと思う。しかし、現地のお友達はこの列車に乗り遅れた人など数人おり、もう十分かなという気がしたので、あえてそれ以上は言葉をかけなかった。やはりここはお友達になっておくと、また新しい展開があるか、少なくとも情報網にはなったかもしれない。少し残念。
 ともかく、新幹線は時間通りに、何の支障も無く広州南駅に着いた。午後3時35分。おおよそ4時間の旅だった。

 広州南駅だ。場所はかつて仕事で通ったことのある番偶という街にある。広州市の中心部には車で小1時間かかる。事前調査では、広州北駅のはずが南になっている。北駅の場所もネットで調べたが、広州白雲国際空港とほぼ同じくらい、市の中心から北へ行ったところにあるはずだが、どうなっているのだろう。これは要調査。出発が北で、到着が南だろうか?
 ともかく、南駅も原っぱに突然できた大きな駅。売店や食堂はまだ広い構内に無い。外の大きなテントの中に仮設の売店と食堂があった。それをみつけて、私は一人所謂駅弁を食いながら後続者を待つことにした。1食15元。