天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

大地よ アイヌとして生きる

 笛のレッスンの場所が変ってから、久々に東中野まで行った。知り合いの金さんの映画がここのポレポレ座で上映されているの行って見た。

 予告編がネットにでていた。

eiga.com

 アイヌと言えば、北海道の先住民族で、色々差別を受けてその存続が危ぶまれているが、最近復権運動が起きている。と言う程度の認識だった。この語り部である宇梶静江さんは、その復権運動の仲間であるようだが、映画の主題はそこではない。

 北海道で生まれ育った静江さんは、札幌の中学校を卒業するものの、アイヌであることから就職ができなかったそう。そこで東京に出るわけだが、大都会って誰をも許容して生きてゆくことができる場所なんだろうか。ある意味そうかもしれない。

 結婚相手は和人で、アイヌではなく子育ても終えた頃からアイヌとして生きることに目覚める。66歳から始めたのが、詩を書くことの他に古い布を継ぎ合わせて絵にする”古布絵”(こふえ)を作り始めた。

 北海道の開拓が進められていた頃、アイヌの住む地域は国有地とされ、一般の入植者に土地が配分されるのにアイヌには土地も与えられなかったらしい。今はどうなんだろう。そこのところは映画では詳しく出てこない。

 「アイヌとして生きる」というタイトルは、少数民族としての生きざまを守る、と同時に「アイヌ」という言葉は「人間」を意味する。

 「大地よ」という呼びかけは、自然よ、であり地球よである。映画のナレーションは彼女の詩の言葉を拾ったものもある。

 地球は人間が造ったものではない。それを人間が壊してはいけない。地球は、人間だけのものではない。沢山の動物が共存する場所。ナレーションで、人が制御できない原子力(原爆に原子力発電)を作ってはいけない。海を汚してはいけない。山を切り崩してはいけない、トンネルもダメ。と言うようなことが語られていた。トンネルも、それこそ地球に穴をあけてしまい、生き物たちの生態系を人間が変えてしまうことか。このことはリニアモーターカーの線路を作るのにデタラメやってることも指摘しているのだろう。

 この人は現在88歳。65を過ぎてからいろいろと活動を始めてまだまだ元気そう。

 映画は、金大尉さんの映像作家としての技術がいかんなく発揮されていて海も山も人々も美しく映し出されている。企画・制作は藤原書店