9条を活かす日本 伊藤千尋
伊藤千尋氏の本は、「凛としたアジア」、「世界を変えた勇気」に続いて3冊目。前2冊は今年発行されたもので、伊藤氏から直接送ってもらった。今回は昨年の出版で、AMAZONで買った。更に前に出された「凛とした小国」も買った。
本は買わなくても、と考えるようになったが、お金を支払うことで著者を支援することになると思うと買う。
副題の「15%が社会を変える」という意味は、世の中の15%の人がすることは、その社会の皆がやること、すなわちその社会のマジョリティに見える、ということ。そのように見るべき証が中に書いてあった。
ほんとうに素晴らしい本だと思った。どうしたら多くの人に本でもらえるだろうか、と思うくらい。あとがきの最後の言葉は、「本書は、全国各地でさまざまな9条のために献身的に活動する人々に捧げたい」とあった。
そういう人たちは、この本を読むまでもなく9条に代表される現行憲法の重要な意味を理解していて、守ろうという運動をしている。本当に読んでもらいたいのは、ボーっとしてんじゃないよ、なんてつまらない犬HKの番組を見てボーっとしている人たち。そういう人こそ、この本を読んで憲法の大切さを認識して行動してもらいたいものだ。
第1章 世界に広がる憲法9条 日本の世界史的任務
第3章 社会は変えられる 「15%の法則」
第4章 日本の岐路 今こそ立ち上がるとき
第1章に書いてあることは、日本国憲法の第9条を大切だと思っているのは日本人だけじゃないってこと。書き出しは、アフリカ沖のカナリア諸島の中心グラン・カナリア島にヒロシマ・ナガサキ広場というのがあって、そこに日本の憲法9条の碑がある、ということから始まっている。トルコにもある。日本には沖縄の7つをはじめ全国に18の9条の碑があるらしい。
アメリカ人の映画監督は、ベトナム戦争のころ16歳で来日し、日本の高校で学び、日本国憲法を「人類の悟りと知恵の極致」と感じたそうで、2005年に「映画 日本国憲法」を制作した。
世界は、日本人がなぜ日本国憲法をもっと活用しないのか、と不思議がっている。
ということで第2章は、憲法を活用するとはどういうことか、他の国ではどうやってるのかが書いてある。当然コスタリカの例が中心になる。
第1章には日本国憲法が書かれたいきさつにも触れている。当時のマッカーサーはここまでのもの(9条)を期待していなかったが、幣原喜重郎首相が「軍備放棄」を憲法に織り込むことを提案した。
また男女同権を規した憲法24条の創案者は当時22歳のアメリカ人女性ベアテ・シロタ・ゴードンさん(1923-2012)であり、そのいきさつも触れられているが、奇しくも今日の東京新聞にその娘のニコルさんの記事が載っていた。
日本人はもっと覚醒しなくてはいけない、ということがこの本もこの記事も言いたいことだろう。
9条に自衛隊を正当化するような条文を付け加えるようなことをしてはいけない理由も、法理論的に書いてある。少なくとも安倍が政権の座にいる間は今の憲法を守り切ることをしなくては、日本の社会は今以上に落ち込み、またしてもアジアを不安にさせる元凶になってしまう。