2 格差と日本人
野中さんと、辛淑玉さんの対談本。
裏表紙に本書のテーマがあったので、書く代わりに写しておいた。
野中さんは私の父より2才若く、辛さんは私より8才若い。だいたい親子のような年の差の関係。
それぞれ、部落差別、在日差別の被差別側で苦労して、それをばねとして活躍された、又はされている人だ。日本人のしている差別には、このほかハンセン病患者や重度障がい者の問題が取り上げられている。
差別の実態はそれに尽きるものではない。原爆被害者に対する差別、水俣病患者に対する差別もあった。学校でのイジメは差別の若年層版だろう。
差別は無くならない。と辛さんは言う。何故なら差別は「享楽」だからだと。自分は他者より優位だという感覚が「享楽」であり、一度その「享楽」を味わうと何度でも繰り返したくなる。これが差別する側の心のメカニズムだと。
ヘイトスピーチする人間はまさにそうなのだろう。何も正当な根拠がなくヘイトスピーチを繰り返す。やっている人間は、格差社会の中で優位に立てない不満をここで憂さ晴らししている。つまり格差社会は差別を増幅させているともいえる。
そうした実態の中で日本の政治がどうだったか。とても十分な対応をしてきていない。本の中で名前が挙がっているのは石原慎太郎、麻生太郎、小泉純一郎。書かれた年が2009年なので、第二次安倍内閣の前なので、安倍については辞任した総理となっているが、今この二人が会話したら、麻生以上にケチョンパンにダメ出しされるだろう。
この本では、強制連行した朝鮮人労働者を使って財を成した麻生財閥の血筋の麻生が何で政治家やってんだ。と言わんばかりの書きようだが、そういう人間が政治の要職に就いているという日本の実状を指摘する。
沖縄の名護市の市長選挙は残念な結果に終わった。その敗因については、ネット上でいろいろ取りざたされている。選挙前の年に4000人の転入があったとか、期日前投票の数が例年より以上に多いとか、またとぐち武豊の高校3年の娘が学校で公職選挙法に抵触する活動をしていたとか。いろいろあるが、公明党が基地賛成側に回ったことと、なんと言ってもお金で票集めが大きい。お金と言っても助成金。今朝の新聞でそのことが論じられている。
本の話からそれてしまったが、目先のお金と居心地の良さで動く日本人が多いのは嘆かわしい。