三中全会
朝、地震の横揺れで眼ざめた。いよいよ富士山か!と思い珍しくベッド脇のテレビをつけると、震源地は茨城の方だった。今のところ大きな被害は無いようでひと安心。
ついでにテレビを眺めていたら、CNNで中国の北京で行われている三全中会のことが報道されていた。ほんの数分間の間に、するどい内容のことが語られた。この前「中国自壊」という本で現在の中国の問題を具体的に学習したところだったので、この数分の報道が重大な問題を含んでいることが理解できた。
・「5年に一度のこの会議は、厳重な警戒の中で開催されている」
⇒人民には中の様子が知らされない。共産党の会議はもはや人民とは乖離したところで行われる会議となっているのだと言っている。
・「現在の経済モデルでは立ち行かない」として現在の経済モデルをズバリ次のように解説していた。
⇒GNPの成長が国民の消費につながらない。
⇒非効率な国営企業の経営者は共産党幹部であり、この体制の中で、彼らは莫大な蓄財をしてきた。
⇒このような国営企業に対して政府中央銀行に融資を継続させ、不良債権が莫大な金額になっている。一方で純粋な民間企業には融資がされない。
こんな体制の継続はもう難しい。中国社会の矛盾とそれに対する人民の不満があることは、もはや世界中が知る明白な事実となっている。何らかの対応をせざるを得ない状況になっている。
対応策として、どういった方向に向かうのだろうか。
1)これまでの路線通り、農村戸籍制度を維持し、格差を残し不満分子は抑え込むのか。
2)具体性の無い方針論だけで、汚職・腐敗を厳しく取り締まる、と言う。そしてエスケープゴートを出してポーズを示す。
3)今度こそ真面目に取り組む姿勢を見せ、具体策を1、2挙げる。
富の配分を共産党幹部だけでなく、皆にチャンスがあるような社会への具体策とは何か。次の2点が大きい課題だろう。
農村戸籍と都市戸籍の撤廃。即ち格差解消の根幹に触れる。また、企業融資基準を明確にして、不採算企業の整理を行う。
今回の三中全会の課題は、改革と格差対策が焦点であることは、日経新聞でさえ書いている。このどちらかに係る具体策が出てこないと、社会不安に発展する可能性もあると言っても言い過ぎではないだろう。
北京の天安門前で、ウイグル系の人による車が突っ込み炎上し、山西省の共産党本部前で車が爆破するというテロまがいの出来事があった。これらの出来事は三全中会に対するアピール以外の何物でもない。
報道によれば、中国政府は前者を民族運動のテロ事件とし、後者については個別の不満分子の暴発的な行動として問題にしない方針であるとか。これによりウイグル族への弾圧を強化し、中国内の格差問題などは存在しないといった姿勢を続けるのだろう。
12日には習近平の政策表明があるらしいが、どのようなことをどこまで言うのか、大きな期待はできないまでもチェックしておかなくてはならない。