天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国自壊 増田悦佐著

 これは、昼休みの本屋ブラリで目に着いた本。読みはじめてから、既にこのブログに書き始めていた。タイトルが「中国自壊」と衝撃的な言葉であったので手にとって開いてみたわけだが、立ち読みでは済まない内容と思えて購入。色々な数値を表やグラフで分かりやすく示しながら、現在の中国の問題点をズバリ指摘している。
 本の表紙に書いてある言葉が、そのまま内容の要約でもある。
・賢すぎる支配者の悲劇
・21世紀の今でも「身分差別」を守る国
・史上最大・最強のケインズ主義国家の末路
 特に身分差別として、戸籍制度の問題が全体を通して論じられている。
 筆者自身、おわりにのことろで、全編内政干渉と言えばいえるほどにきわどいものになったと書かれているが、書かれていることが事実であるからには仕方が無い。
 同じ中国人民といいながら、農村部に生まれて、農村戸籍をして登録された人達は、今の制度が続く限り理不尽な差別を受けたまま暮らしてゆかねばならない。
 GDPで世界第二の地位になった中国。国民の生活は、一部の人達を除いて一向に向上しない。大多数を占める農民の暮らしは虐げられたまま。
 農村戸籍の人達よりはまし、と思っている都市戸籍の人民の労働分配率は40%未満というありさまだ。現在の支配者は、人民の暮らしが豊かになり余裕が出て来て文化だ民主化だと言い出すと、勢い現体制への疑問が生じてくる。それを恐れて、人民を貧困のままにしておく策としてこの戸籍制度を維持し、富の分配を人民の生活に関係の無いインフラ投資に向ける。
 昨年末、北京−広州が新幹線で繋がった。私も乗りに行った新幹線だが、飛行機代とさして変わらない。著者はこんな新幹線の需要に疑問をもつ。私としては、先月の国慶節の時期に深圳から武漢までの新幹線の切符が買えなくて苦労したところなので、新幹線需要については結構あるとみている。
 もう一つの無駄な投資の例としてモンゴル地区のオルドス市が挙げあれらている。これは30万人が住める計画都市を建設したが、実際にはその10分の1しか住んでいないという。ゴーストタウンになっているとか。この様子は、ネットで確認することが出来る。
http://www.youtube.com/watch?v=y6AxdbsOglM
画像だけの不気味なレポートだ。このようなものを作って、富の無駄遣いをしてまで人民の生活を貧困のままにとどめる。経済指数だけは経済大国並み。
 中国ファンの一人である自分としては、中国ファンではあっても共産党ファンであるわけではない。中国共産党の幹部が、自分たちの利権を維持するために中国の人達をこのように、ひどい状態に置いたままにしていることには怒りを覚えざるを得ない。しかし、急激な自由化が共産党幹部の言うように、富を求めて中国人民が世界にあふれ出てもいいのか、というとそれはかなりの混乱状態にはなるであろう。
 ソフトランディングなどという都合のいい流れが実現するかどうか、来年にもその答えが見えてくる、とこの本は思わせる。