天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

格差大国 中国VS米国

 堤未果さんのレポートするアメリカの格差社会と、増田悦佐さんが「中国自壊」という本の中で述べられている、中国の格差社会の実情を比べてみる。ジニ係数という数値でみるだけでは、似たようなレベルに見えるがしかしてその実態は?
 アメリカの場合、元々奴隷として連れてこられたアフリカ人をリンカーン奴隷解放した。しかし、いまだに人種差別が残っている。そしてこの差別が生活レベルの格差となっている、これをなくそうとしたキング牧師は銃で撃たれた。アメリカ社会には黒人に加えて、ヒスパニックと呼ばれるメキシコ方面からの移民や不法入国者がいて、両者がアメリカの下層階級を構成していた。
 南部の方に行くと、黒人とヒスパニックの地位がこれまた微妙に異なる。そういう歴史的な格差は厳然としてあり、最近では白人社会の中でも格差が生まれている。そこのところを堤未果さんは指摘し、日本への警告としている。詳しくは以前、彼女の本を紹介しをこの日記に書いた。
 一方の中国。こちらは多くの少数民族を抱えるため、民族間の格差の問題はある。チベットウイグルの問題は、格差よりも民族間の問題がクローズアップされるが、格差もしっかり存在している。これに反発する動きは絶えす、最近も天安門前で車が炎上する事件があった。こういった民族問題に加えて、戸籍制度の問題がある。
 中国の戸籍制度は1956年以来変わることなく農村に住む人たちを虐げている。これは「中国自壊」の著者である増田氏によると、共産党が権力維持のために今後も無くすことはないという。即ち、共産党一党独裁体制継続のために、都市住民を支持者とするために、人口の三分の二を占める農村の人達よりましな生活を維持できることを保証する制度なのだ。
 さらに中国の場合、格差の階層のトップにあるのが中国共産党の指導者層わずか200人だ。ここへの利権による富の集中度合いはすごい。詳しくは増田氏の「中国自壊」に書かれている。
 アメリカと中国とでは、具体的に格差を生じさせている実情は異なる。しかし、その原因として、一部の人間が自分たちの利益を確保するために、他を犠牲にしているという構図は変わらない。その人間たちが政治をも牛耳っている。
 こういう部分に警鐘を発していくのは、権力者を相手にするのでリスクのあることだ。中国の場合、89年の天安門事件以後、民主化推進派の人達は海外での生活を余儀なくされている。これから先、どうなってゆくのか。